そんなJリーグを、海外から助っ人として来日した外国人選手は、どう見ているのだろうか? 彼らが渡り歩いてきたリーグと比較することで、Jリーグの位置がより明白にわかるかもしれない。
サンフレッチェ広島に所属し、元クロアチア代表のミハエル・ミキッチは、昨今の若手の海外志向に対して、こう述べている。
「Jリーグのレベルは高いのに、なぜ日本の若い選手たちは外国のリーグに行きたがるのか? その理由がまったくわからない。こんなに素晴らしいスタジアムとサポーターの雰囲気があって、さらにパーフェクトな運営がなされている。プレーの質も高い。それなのに、なぜJリーグより下のクラブに行く必要があるのだろう」
もちろん、これは彼の私見であり、外国人選手の総意ではない。しかし、クロアチアやドイツでプレー経験のあるミキッチの発言から考えると、おおむね外国人選手はJリーグに悪い印象を抱いていないと推察してよいだろう。
では、Jリーグクラブのレベルは、アジアの中でどの程度のところなのだろうか? アジア各国リーグの上位チームが集まるAFCチャンピオンズリーグでの成績を見てみると、過去12回で浦和レッドダイヤモンズとガンバ大阪の2チームが1回ずつ優勝しただけで、そのほかはベスト4が精一杯の成績である。それに比べ、日本代表チームは4年に一度開催されるAFCアジアカップで00年から15年の間で優勝3回と最多優勝回数を誇り、アジアでは抜けた存在になりつつあるため、Jリーグクラブのアジアクラブとの対戦成績は少し物足りなさを感じる。
「日本らしさ」がカギになる
このように、アジアにおける日本代表チームとJリーグクラブの立ち位置は少し異なっているのだが、Jリーグクラブで育った選手が海外に移籍し成功している事例を考えると、育成という意味では結果を出しているといえる。
日本サッカー協会公認の指導者ライセンスを持つA氏は言う。
「プロ発足から20年で、日本にサッカー文化が広まったことは本当にすごいと思います。以前に比べサッカー人口も爆発的に増えましたし、ニュースでも盛んに取り上げられるようになりました。その半面、中途半端な知識で文句を言う人が増えました。居酒屋で飲みながら言うのは一向に構わないのですが、テレビの解説者やサッカーコーチが見当違いなことを得意げに言っている場面もよく見かけます。また、サッカー経験者はJリーグを見ない傾向にあります。プロの試合を見るとしても、リーガ・エスパニョーラのFCバルセロナやブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンなどのビッグクラブをテレビで見るだけで、わざわざスタジアムに出向いてJリーグを観戦しようとは思わないようです。『時間とお金をかけてまで見に行きたくない』というのが本音でしょう。日本は多くのレジャースポットがあるので、Jリーグはそれらに勝る魅力を作らなければ廃れていくでしょう」