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環境は変わり、競争も激化する。その中で生き残るためには現状維持ではなく、差別化が必要だ。それは、会員制度、広告宣伝費の維持といった「戦術」とは違う。高付加価値な家具を販売してブランドイメージの強化を図る、海外進出を進めて国内事業への依存度を下げるなど、企業の中長期的な方向性を示す考え=「戦略」が必要だ。
「組織は戦略に従う」。戦略があってこそ組織は環境などの変化に対応できるという米歴史学者アルフレッド・チャンドラーの指摘に照らせば、大塚家具の経営再建には、現経営陣が示す以上の改革が求められるだろう。秩序なき身内の覇権争いは、もはや企業経営の体をなしていない。経営戦略の提示と執行、モニタリングこそが企業の環境適応能力を測る尺度だ。
奇しくも、大塚家具の内紛は国内企業や機関投資家がコーポレートガバナンスや成長戦略の重要性を認識しつつある状況下で激化した。同社の主要株主には大手機関投資家の名が目立つ。それだけに、お家騒動としてこの問題を片付けるのではなく、なぜ機関投資家はこうした問題を見過ごしてきたのか、冷静に振り返る必要がある。それが、わが国の資本市場の存在感を高め、真に成長を支える市場機能の整備につながるだろう。
(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)
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