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地に堕ちた西武HD、私鉄トップへ華麗なる復活劇 巨額負債隠蔽事件から解体的大改革

文=福井晋/フリーライター
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 経営再建が軌道に乗ったとみられる今、株式市場が注目するのは成長戦略だ。

 これについて西武HDは、2月26日に発表した「西武グループ中期事業計画(15-17年度)」の中で、17年に営業収益(売上高相当)5300億円、償却前営業利益1054億円の数値目標を掲げ、訪日外国人の獲得強化を軸にした成長の図式を描いている。

 もちろん、以下のような4項目の具体策も示している。

プリンスホテルの訪日外国人客のグループ内施設への送客や回遊」
「重点エリア(都内、西武鉄道沿線、軽井沢・伊豆箱根のリゾート地)での訪日外国人客のグループ内施設での回遊促進」
「重点エリア内施設における多言語表記、外国語対応スタッフ配置、食事等宗教対応などによる訪日外国人客受け入れ態勢の早期整備」
「西武グループが一体となった訪日外国人客獲得のプロモーション活動強化」

 北海道から九州まで41カ所に点在するプリンスホテル(グループ全体の宿泊施設は50カ所)が連携するだけで、訪日外国人客取り込みのためのさまざまなサービス展開が可能になるのは想像に難くない。それは他の私鉄系ホテルや大手独立系ホテルとの差別化要素にもなろう。ちなみに西武HDは、17年度のホテル・レジャー事業の売上高について14年度比9.8増の1985億円を目標にしている。

爆発的成長力を秘めた不動産事業

 このほか、成長戦略の潜在能力として期待されているのが不動産事業だ。
 
 西武HDは東京23区内に約47万平方メートルの土地を所有している。三菱地所の約33万平方メートル、住友不動産の約31万平方メートル、三井不動産の約25万平方メートルを上回る。さらに東京23区以外の国内各地に合わせて約4246万平方メートルの土地を所有しており、両方合わせると山手線内側の2倍程度の土地を所有している計算になる。所有地の規模だけで見ると、国内最大級の不動産会社といえる。この潜在資産をいかに有効活用するかが、同社最大の課題とされる。

 それを踏まえ、現在推進中の旗艦プロジェクトが「紀尾井町プロジェクト」だ。これは「赤プリ」の愛称で親しまれた「グランドプリンスホテル赤坂」跡地の再開発計画。16年夏の竣工を目指し、地上36階建てのホテル・オフィス・商業施設の複合施設1棟と、地上21階建ての賃貸マンション1棟から成る「東京ガーデンテラス」を建設中だ。

 東京・池袋でも「池袋旧本社ビル建て替え計画」が進行している。これは池袋駅南側の旧本社ビル跡地と西武池袋線西側の西武鉄道所有地に大型オフィスビルを建設、両棟を西武池袋線上空をまたぐデッキでつなぐ計画だ。18年度中の竣工を目指している。

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