新幹線の切符に表示される(東京都区内)の範囲はどこまで?
人気放送作家の鮫肌文殊氏と山名宏和氏が、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を直撃解決!する連載「だから直接聞いてみた」。月刊誌「サイゾー」で連載されていた同企画(宝島社より単行本となって発売中!)が、ビジネスジャーナルにて復活!
今週は、林賢一氏が、新幹線など長距離間の切符に表示される目的地以上の範囲について、疑問をぶつけた!
[回答者]JR東日本お問い合わせセンター
遠出して新幹線で帰京する場合、チケットにはこう記されている。例えば浜松から品川駅へのチケットだと……
【浜松 → 品川(東京都区内)】
東京都区内ならどこでも降りて良いシステム。名付けて「括弧・東京都区内の奴」。たった今、名付けられて、東京都区内も戸惑っているかもしれない。
いつも気になっていた括弧内の奴。
決して品川駅以外では降りることがないのに……。ご丁寧にざっくり表記していただいて……。これはJRのおせっかい? それとも細かな気配り? もしや、途中ぶらり下車のレコメンド?
いやいや。チケット購入時に目的地は、確実に決まっている。余計なお世話といえばお世話である。
電車に揺られながら「ちょっと一駅先まで行ってみようかしら」などと思ったことなど一度もないし。謎である。
そこで【JR東日本お問い合わせセンター】に直接聞いてみた。
「新幹線などのチケット表記が【東京都区内】とざっくりなのはなぜですか?」
担当者 えーっとですね。ある一定の距離、201km以上ですとか、そういった距離の切符を買って頂いた場合、23区内の駅まではお付けしますよというものなので。どうして23区内かというと、何ともお答えしかねるんですけども。
──範囲がざっくりした理由は特にないんですか?
担当者 ある程度の距離でしたら、そのまま使って下さい、っていうことです。
──サービス的な感じでしょうか?
担当者 そうですね。
──201km以上っていう距離には何か意味があるんですか?
担当者 そうですね、この乗車券が「東京山手線圏内」という場合もございまして、それは買って頂く切符の距離が何キロのものなのか? で決まります。201 km以上ある切符を買っていただくと、23区内の駅をお付けするんですけど、200kmまでの駅、101kmから200kmまでの切符ですと「山手線圏内まで使えます」という乗車券になります。どれくらいの切符を買って頂くかによるんですね。
──それって、その2種類のほかにまだあるんですか?
担当者 いえ、この2種類でございますね。一番最大が23区内でございます。東京だとこの2種類なんですが、大阪は大阪市内だったり、いろいろ各地域によってもエリアは違うんですけども、それぞれそういった決まりがあるんです。
──埼玉でも同様のサービスってあるんですか?
担当者 いえ、首都圏は東京23区内だけですね。まぁ、横浜はまた別で横浜市内が付く場合もあります。東京都区内となっていますと、例えば何線を使われますか?
──例えば、埼京線とか。
担当者 えーっと、浮間舟渡駅までが23区内でございます。
──23区内なら使えるってことですね。
担当者 そうです、そのまま乗車券は必要なく、お持ちの切符で乗っていただけます。
──その浮間舟渡駅から23区内1駅越えると、ひと駅分乗車賃を払うんですよね?
担当者 そうゆうことになります。
──これ、例えば中央線の吉祥寺駅で降りた場合、武蔵野市の場合はどうなるんですか?
担当者 西荻窪までが23区内なので、出てしまった西荻窪より先の分は乗車券必要ですので、お支払い頂きます。
というわけで、結論は【JRのサービス】ということだった。
理由は特にないわけで、オチがないような感じになって、なんかすみません。
長く乗った分、目的地の範囲も緩くします理論。201km以上乗ったら、さらにサービスでドンと範囲が広がる理論。そこに理屈はない。逆に言うと、「ただ何となく」の強み。
JRの底力なのか緩さなのか判別しようないが、23区内ならどこで降りても良い、という心地よさと余裕を噛みしめることが、大人への第一歩なのかもしれない。そんな小さな成熟でも、いや、そんな小さな成熟だからこそ必要なのだ、とふと思う。って、何をまとめようとしているんだ、わたしは。なんかすみません。
(文=酒平民 林賢一)