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黒田日銀の次の一手
大山鳴動して鼠一匹の感があるG20が終わってみると、市場が一番インパクトを受けたのは、G20開幕前の3日、ECBの定例理事会後に開いた記者会見におけるドラギ総裁の発言だ。同総裁はまず、「新興国の景気が減速している」「(原油価格の低迷の原因のひとつは)中国の需要減」などと述べたうえで、「(EU域内の)消費者物価上昇率は非常に低い水準にとどまりそうだ」「マイナスに落ち込む可能性もある」とデフレ予防策の必要性を指摘。具体策として、「必要ならば」と断りつつ、金融の量的緩和策の拡充や現行の緩和策の終了時期の延長を辞さないときっぱり表明したのだ。G20の声明より具体的で、市場はG20が終了した後も、むしろドラギ発言のほうにインパクトを感じており、週明けの朝の東京市場もそうした状況を映した展開を見せたといってよい。
16、17の両日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBが本当に利上げを見送るかどうかは依然として不透明だ。とはいえ、G20やラガルド専務理事発言で、一時ほど利上げ懸念は強くなく、ドル高の勢いはそがれている。そこに、G20が否定した「通貨安競争」ではなく、「デフレ予防策」という大義名分のあるユーロ高阻止策をドラギ総裁が打ち出したことで、買われやすい通貨として残ったかたちなのが日本円だ。
しかし、円高は中国向け輸出の減少に直面する日本の輸出をさらに落ち込ませて、経済の足を引っ張る原因になりかねない。舵取りの難しい市場との対話をどう進めるか。ドラギ総裁に先を越された格好だけに、黒田日銀の次の一手が注目されている。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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