林遣都がネイティブ関西弁で
そんなさまざまな期待を背負って放送開始された『スカーレット』だが、意外にも放送第1週の平均視聴率は19.8%と、やや不調な結果に。20%には届かず、『ひよっこ』以来5作ぶりの大台割れとなった。これに対し、あるスポーツ紙の記者は次のように分析する。
「あれは完全に、『なつぞら』の“なつロス”でしょうね。『スカーレット』の第1週目は戸田さんは出てこず、ヒロインの少女時代を子役が演じていました。となると、やはり『なつぞら』がゴージャスすぎた分、なおのこと『スカーレット』の“地味感”が際立ってしまった。しかし、戸田さんが出演し始めた2週目後半から視聴率が急上昇、現在では安定して20%を超えています。前々作の『まんぷく』と同様、大阪NHK制作のため、派手さはないがしっかりと記憶に残る、いい朝ドラになるのではないでしょうか。滋賀を舞台に、信楽焼がテーマというのも、往年の朝ドラっぽくて実にいいですよね。
また、北村一輝さん、林遣都さん、溝端淳平さんなど、関西出身の俳優さんがネイティブ関西弁でしっかり脇を固めているのもすごくいい。村上ショージさんや何かと今話題のTKOの木本武宏さんなど芸人さんもちょこちょこ出ていて、全体的に吉本新喜劇のにおいがする演出が非常に味わい深いです。
脚本は『妹よ』(1994年)、『みにくいアヒルの子』(1996年)などでフジテレビの全盛期を支えた水橋文美江が、朝ドラ初挑戦。確かなストーリーテリングと構成力には定評があるため、テンポのいい朝ドラになる可能性は相当高いと思います。ドラマを観ていても、相当楽しんで脚本を書いているのが感じられますよね」
ドラマの目利き筋からは早くも高評価を受け、視聴率も安定し始めた『スカーレット』。戸田恵梨香の新たな代表作になる気配は、非常に濃厚といえそうだ。
(文=藤原三星)
藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>