仕事にモチベーションなんて不要!強いチーム作りが大切
元外資系部長、ユニクロ元マネージャーであり、現在『とくダネ!』(フジテレビ系)コメンテーターとしてもお馴染みの田中雅子氏。長年現場のマネジメントに携わり、数々の全社プロジェクトを成功させ、企業成長を支えてきた田中氏が、ビジネスパーソンが自らをリーダーに成長するためにやるべきことを指南する。
講師を務めた企業研修終了後の懇親会などで、若手社員の方から「どうやったら、モチベーションが上がるんでしょうか」と質問されることがあります。
今の若手の方は、一生懸命勉強するし、就職難なのですごくいい子でいようという傾向が強いようです。第一志望の職種に就けているわけではないが、頑張らなくてはならないと悩みを抱えているようです。
そんな時、私はこのように答えています。
「私も、社会に出てから20年間、一度もモチベーションは上がったことがないから大丈夫!」
●好きなことを仕事にできる人は、ほんの一握りしかいない
最近、よく言われるようになった「モチベーション」という言葉ですが、仕事をする最初からモチベーションが上がるようなことはない。それが、20年あまりビジネスの現場にいて実感していることです。恐らく、最初からモチベーションがある人というのは、好きなことを仕事にしているごく少数の人か、そうでなければスポーツ選手のような境遇の人でしょう。そのほかの人の多くは、自分がやっている仕事が自分に合っているのかどうかもわからないし、好きかどうかということもわからない。でも生活のため、食べていくため、家族のために仕方がないと思ってやっている。これが現実ではないでしょうか。
私も大学を卒業した後は、法律の研究者としての道を歩みたかった。でもやむにやまれぬ事情があって、今に至るという人生を歩んでいます。最初からピタッとやりたい仕事をしているわけでもありません。しかも、早いうちから家業を継いで経営者となったり、外資系企業の管理職になったりというキャリアを歩んできたので、人から褒められるというような経験もありません。今さらながら、今でも本当に自分の好きなことをやっているのか疑問な程です。とにかく、最初からモチベーションがあるなしにかかわらず、目の前の仕事に取り組むことが求められたのです。
●モチベーションは、結果が出た時に初めて宿る
でも、どんな環境であれ、結果を出さなくては前に進むことができません。自分が志望した会社であろうがなかろうが、また、仕事をする環境が快適であろうがなかろうが、その場で結果を出していかなくてはいけない。
要は、企業人としての真価が問われているわけです。そうして、結果が出ると初めて、部長や社長に「よくやった」と言われる。その時に「次もがんばろう」というように、モチベーションが出てくる。モチベーションは、仕事をする前に上げるものではなく、仕事をして結果を出した時に初めて心に宿るようなものではないでしょうか。
サッカーのなでしこジャパンも、「勝った! 世界一だ! よくやった!」と言われた時に初めて、モチベーションが上がったのではないでしょうか。
「よし、次もがんばろう」
「次はレギュラーを獲得するぞ!」
そうやって、次の結果に対してこだわりをもつことで、モチベーションが上がる。モチベーションとは、そのようなものだと思います。
これは仕事でも同じです。小さな結果を1つずつ出すことによって、自分の目標が生まれはじめる。そして少しずつ自分の目標の焦点があった時に初めてモチベーションが上がるもの。会社から与えられた目標だけでは腹落ちしないのは、その目標の到達イメージができていないために、焦点が合っていないからです。
●「モチベーションの呪縛」から解放してあげよう
まずはやってみる。経験をすることが非常に重要です。当然、「いやだな」と思うこともあるかもしれません。でも、それが何年かたったら、血肉となって大きな気づきを得ることにつながることもあります。「いやだな」と思っていたことが、意外に楽しいことだったりするかもしれません。それでも、やはり自分には合わないなと感じたら、その時、決断すればいいことなのです。実行に移すことによって、生まれることもあれば、生まれないこともあります。