また、よくやせる輸入健康食品の中に、薬の成分が入っていた、という話も時々ありますので、そのあたりは十分ご注意を。
日本で認められている肥満に使える薬、そして保険で使える西洋薬は、マジンドールのみです。脳の摂食中枢に直接作用して食欲を強力にブロックしますが、2〜3カ月で耐性ができてしまい、食欲は戻りやすく、最長3カ月しか処方が認められていません。また、神経過敏、動悸、肺高血圧症などの副作用も心配です。しかも、高度肥満以外への処方は自費になってしまいます。
海外では、シブトラミン(抗うつ薬として開発されたが、体重減少作用が認められた薬。ただし循環器系の副作用のリスクが高く、ヨーロッパでは使用中止の勧告もあり)、オルリスタット(脂肪分解酵素のはたらきを抑えて脂肪吸収を阻害、脂溶性ビタミンも吸収されにくくなる欠点あり)、ロルカセリン(2012年承認された薬、セロトニン刺激で食欲抑制とのこと)そして、キューシミア(12年承認された薬、フェンテルミン+トピラマートの合剤、摂食中枢に働いて食欲抑制するが、副作用が出やすいかも)という薬はFDAで承認されていますが、日本では現在のところ保険適用外ですので、個人輸入の形でしか手に入りません。ただ、大正製薬がオルリスタットの製造販売契約をグラクソ・スミスクライン社と結んでいますし、最近、武田薬品からセチリスタット(リパーゼ阻害剤)の製造承認が申請されましたので、ここ数年の間に、日本でもこれらの抗肥満薬が使えるようになるかもしれません。
また、日本で肥満治療に使われる薬として、漢方薬があります。代表的なのが、防風通聖散や防已黄耆湯です。ほかにも、体質や性格などに応じて、大柴胡湯や加味逍遥散などの漢方も使います。最近は薬局で簡単に買えますが、体質に合うかどうかも分からず、飲むのはあまりオススメしません。こちらは医師の判断で保険処方が可能です(薬局で買うよりはるかに安く済みますし、指導も付き安心です)ので、漢方に詳しい医師に相談されてはいかがでしょうか。
ただし、薬物療法はあくまで補助であり、生活習慣の改善、心の持ち方の修正が基本であることはお忘れなく。
・外科的治療
海外だと、胃バイパス術(胃を小さくして直接小腸とつなぐ)や胃バンド術(腹腔鏡で胃の上部にバンドを留置して閉め具合を調整する)、胃部分切除術(胃を細長く切除する)といった手術が年間20万件以上行われています。日本でも、大分医科大学などで行われていますが、まだ年間数百件ぐらいのようです。
ただし日本では、減量を目的とする外科は保険適用外なので、実費負担で30〜50万円ぐらいはかかるようです。
●<まとめ>肥満にはダイエットサプリよりも医師の指導を
最近テレビCMなどで頻繁に宣伝している高価な市販のダイエットサプリや漢方を自費で買うぐらいなら、ちゃんと生活指導をしてくれる医師を探して、外来診療を受けることをお勧めしたいと思います。