暑い夏が終わり、これから気温が徐々に低下していき、空気も乾燥するようになっていきます。すると、「のどが荒れる」という人が増えてきますが、それを防ごうと、のど飴を舐めている人も多いでしょう。
しかし、市販ののど飴の中には、安全性の疑わしい着色料や合成甘味料などの添加物を使用している製品が多いので、注意してください。一方で、はちみつやショウガなど天然の原料を使い、添加物を一切使わない製品も売られています。これなら安心して舐めることができます。
スーパーやコンビニで売られているのど飴のほとんどは、医薬品でも医薬部外品でもありません。また、トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品でもありません。単なる「食品」です。したがって、効能・効果、あるいは機能(働き)を表示することはできません。
代表的なのど飴のひとつで、パッケージに「のどを使い過ぎた時」「のどの乾燥を感じた時」と表示してある製品があります。「のどを使い過ぎた時」とは、大声を出したり、カラオケを長時間歌うなどして、「のどを使い過ぎ」て荒れた際に舐めるとよいという解釈ができます。
また、「のどの乾燥を感じた時」とは、のどが乾燥した時に舐めると、のどを潤して乾燥状態を改善してくれると解釈できます。しかし、どちらも明確に効能・効果、あるいは機能を表しているわけではないのです。
危険性の高い成分が使用されている製品も
一般にのど飴には、ハーブエキスやカリンエキスなどが含まれているため、のどの荒れを防いだり、のどの痛みを改善したりという働きがあると感じている人が多いと思います。しかし、その働きを示す明確な根拠は見当たりません。
それどころか、着色料のカラメル色素や合成甘味料のアスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなど、安全性の疑わしい添加物を使用した製品が多いのです。
カラメル色素は、カラメルⅠ~Ⅳの4種類がありますが、カラメルⅢとカラメルⅣには、発がん性のある4-メチルイミダゾールが含まれています。ただし、「カラメル色素」としか表示されていないため、どれが使われているのか消費者にはわかりません。
アスパルテームは、砂糖の180~220倍の甘味があります。しかし、アメリカでは、1990年代後半に、人間の脳腫瘍とアスパルテームが関係しているという指摘がなされました。
さらに、2005年にイタリアで行われた動物実験では、アスパルテームによって白血病やリンパ腫が発生することが認められ、人間が食品からとっている量に近い量でも異常が観察されました。
なお、アスパルテームには必ず「L-フェニルアラニン化合物」という言葉が添えられていますが、フェニルケトン尿症(アミノ酸の一種のL-フェニルアラニンをうまく代謝できない体質)の子どもが摂ると、脳に障害が起こる可能性があるため、注意喚起の意味でこの言葉が必ず併記されているのです。
スクラロースは、砂糖の約600倍の甘味がありますが、有機塩素化合物の一種であり、動物実験の結果から、免疫力を低下させることが懸念されています。試しにスクラロース入りののど飴を一粒舐めてみたところ、口内の粘膜が刺激されるような感覚を覚え、舌がややしびれるように感じました。
アセスルファムKは、自然界には存在しない化学合成物質で、砂糖の約200倍の甘味があります。しかし、動物実験で肝臓にダメージを与えたり、リンパ球を減少させることがわかっています。
安心して舐められる製品は
市販ののど飴には、これらの添加物を含む製品が多いため、毎日安心して舐められる製品は意外に少ないのです。そんななかで、おススメできる製品があります。ひとつは「はちみつ100%のキャンデー」(扇雀飴本舗)です。独特の技術によってハチミツを固形化したもので、ハチミツ以外には何も使っていません。
ハチミツは、医学的にものどの炎症を抑えて咳を鎮めることが認められています。この製品の場合、固形化されたハチミツが徐々に溶けだすので、のど荒れを防止することが期待できます。ちなみに、私はこののど飴をよく舐めていますが、のど荒れが改善されることを実感しています。
もうひとつは、「榮太樓 しょうがはちみつのど飴」(榮太樓總本鋪)です。原材料は、「水飴、グラニュー糖、蜂蜜<国産>、生姜パウダー(生姜<高知県産>)」で、添加物は使われていません。この製品にもハチミツが含まれるので、のど荒れを防止することが期待できます。
のどが荒れていると気分がすぐれず、仕事や勉強に集中することが難しくなります。また、風邪をひきやすくなります。「のどが荒れて困る」という人は、うがいとともに安心できるのど飴でのどを潤し、荒れを防ぐようにしてみてはいかがでしょうか。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)