秋になんとなく憂鬱な気分になる…には科学的根拠があった!簡単な解消法とは?
秋になって肌寒くなってきましたね。
日が出ている時間も徐々に短くなってきて、これといった大きなイベントもなく、夏と比べるとなんとなく気分が沈んでいたり、寂しい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。これは実は気分だけの問題ではなく、体内で起こる当然の反応といっても過言ではないのです。
そこで今回は、秋の憂鬱気分のメカニズムと、食事による対処法をご紹介します。
ポイントになるのが、「日の出ている時間が短くなってきた」という点です。日光を浴びると私たちの脳内では「セロトニン」という脳内物質が分泌されます。セロトニンは、精神の安定や安心感、幸せな気分をもたらすとされています。セロトニンが不足すると、気分が落ち込んだり、うつ病の原因のひとつにもなるといわれています。夏が終わり一気に日照時間が短くなると日光を浴びる時間が減り、セロトニンの分泌が低下すると考えられます。
セロトニンは日光浴だけではなく、さまざまな方法で分泌を促すことができます。音楽を聴く、テンポよくウォーキングをする、リズミカルにガムを噛むなど、リズムのあることをする、人や動物と触れ合うことでもセロトニンは分泌が増えるといわれています。
食事による解消法
そして、実は食事もセロトニンの分泌に大きく影響しているのです。
まず、セロトニンの材料となるのは、「トリプトファン」という必須アミノ酸の一種です。「必須」ということから、体内では十分な量がつくられないため食事から摂る必要があります。
また、ビタミンB6、マグネシウム、ナイアシンなどもセロトニン生成に関わります。これらの栄養素を多く含む食材を以下にまとめます。
(1)トリプトファン
カツオやマグロ、牛乳やチーズなどの乳製品、納豆や豆腐などの大豆製品、ナッツ類、バナナや鶏肉
(2)ビタミンB6
カツオやマグロ、バナナやアボカド、にんにく、さつまいも、かぼちゃ
(3)マグネシウム
海藻類やナッツ類、バナナやアボカド
(4)ナイアシン
キノコ類、カツオやマグロ、豆類やレバー
上記を見ると、バナナやアボカドは優秀食材といえそうです。また、セロトニンはほとんどが腸内でつくられます。「腸は第二の脳」と呼ばれるほどですので、食物繊維や発酵食品を摂って腸内環境を整えておくことも良いでしょう。
セロトニンの材料となる食材を摂って、日光浴をし、睡眠もしっかり摂ることで秋の憂鬱を吹き飛ばしましょう。
(文=北嶋佳奈/管理栄養士、フードコーディネーター)