前回は、終活の最初のステップ「老前整理」についてお話ししました。後編はあとの2つ、遺産などのお金に関する整理と、残された家族が行う遺品の整理についてお話します。
実は一番気になる「財産」の問題
前回お話しした老前整理は服や本など、持ち物の整理でした。あとに遺すものは持ち物だけではありませんよね。一番心配なのは財産、お金の問題ではないでしょうか。
これは「生前整理」と呼ばれるものです。自分にどのくらいの資産があり、それを誰にどう分けるかを整理した記録です。以前は遺言書で残すことが多かったのですが、最近ではエンディングノートで残す人も増えています。エンディングノートには法的効力はありませんが、資産や延命治療、葬儀の仕方などについて自分の希望を記すことができます。
「自分が死んだら、どんなふうにしたらいいか」と考えて、自分の財産を整理することになるので、楽しいことではありません。ですがこれがあれば、自分が死んだあとに身内のトラブルを防ぐことができる、と考えれば、作成する意味は大いにあるでしょう。
自分が死んだら……ではなく、家族がその時に困る、と考えて整理する
自分が死ぬことを考えるのは気分のいいものではありません。また、死んでしまったらあとのことは、わかりませんので、自分は何も困りません。困るのは、残されたご家族です。毎月掛け金を払い続けていた生命保険も、どこの保険会社のどんな保険に入っていたのか、証書はどこにあるのかがわからなければ、保険金を家族が受け取ることができなくなる可能性もあります。
もらえるはずの保険金が受け取れないというのも大問題ですが、もっと問題なのは遺産問題です。法的に分与の割合は決まっていますが、きちんとした遺言書がなかったためにトラブルに発展した例は、とても多いです。遺産をめぐって家族が争う、という事態は最も避けたいトラブルです。生前整理をしておけば、そういうトラブルは防げます。また、もし争いが起きたとしても、あなたの遺言をもとに解決していくことができます。
遺産や生命保険に関する書類・証書は、ファイルボックスなど1カ所にまとめ、きちんとラベルを貼っておきましょう。「ここに保険関係の書類を入れておくから」と、口頭で家族に説明している方も多いと思いますが、いざというときにはご家族も混乱し、聞いた記憶があいまいになってしまうこともあります。家族が見て、すぐそれとわかる表示をつけておくことが大事です。