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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

あちこちにある消毒スプレーは危険!かえって菌侵入や皮膚炎、生体防御機能を殺す恐れ

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 ここで強調しておきたいのは、皮膚が持つ生体防御機能を軽く見てはダメだということです。私たちの日常生活では、周りに菌がうじゃうじゃいるのが正常な状態です。人間は口や鼻から呼吸するだけでなく、皮膚呼吸もしています。当然、皮膚呼吸を通じて病気を引き起こす菌やウイルスも侵入してきますが、病気にならないのは皮膚に強力な自己防御機能があるからなのです。

 その防御機能がどれだけ強力なものか理解するのは、熱帯地方や南国のリゾートに観光に行った時のことを思い浮かべるといいでしょう。それらの国には、日本にはいないような怖い病原菌が無数に存在するのに、現地の人たちは皮膚を多く露出させた軽装で歩き回っています。そんな無防備な姿で皮膚呼吸をしているわけですが、特に病気にかかりやすくはありません。皮膚に高度な防衛機能があるので大丈夫なのです。

 皮膚と同様に常在菌を棲息させて、体を正常に保っているのが腸です。最近は大便の半分はこの腸の常在菌の死骸であることが知られるようになり、重要な役割を担っていることが理解され始めていますが、皮膚の常在菌についても、もっと理解が深まってもいいのではないでしょうか。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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