本連載前回までの説明で、食品添加物にはいろいろなものがあることがおわかりいただけたでしょうか。今回は、添加物にはどのようなものがあるかについてご説明します。ちなみに、量が膨大すぎて個々の添加物についてすべて説明することは不可能である点はご理解ください。
法令上、添加物には次の2種類があります。
(1)指定添加物
要するに合成添加物=人工添加物のことです。「合成」という言葉を使わないために、この名称になっています。約450品目ありますが、これは化学物質として450という意味ではありません。化学物質としては膨大な数になります。筆者も正確な数を把握できないほどですが、この事実はあまり知られていません。新しい合成添加物が加わっても報じられることはありません。
【指定添加物の例】
・保存料…ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム(ソルビン酸ナトリウムはありません)、安息香酸(あんそくこうさん)、プロピオン酸
・甘味料…サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ネオテーム、アドバンテーム、スクラロース、アセスルファムK
・乳化剤…ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど
・合成着色料…食用赤色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号、食用緑色3号
・酸化防止剤…ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ビタミンC
・調味料…L-グルタミン酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム
・防かび剤…オルトフェニルフェノール(OPP)
・発色剤…亜硝酸ナトリウム
・漂白剤…亜硫酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム
・増粘剤…カルボキシメチルセルロースナトリウム
・加工デンプン…オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンなど
このほかにも、以下のようなものもあり、とにかくよくわからない物質が数多く存在するのです。
酸味料、栄養強化剤、調味料(化学調味料)、糊料、製造用剤、被膜剤、豆腐用凝固剤、香料、殺菌料、膨張剤、消泡剤、固結防止剤、品質改良剤、結着剤、チューインガム基礎剤、日持向上剤
(2)既存添加物
要するに天然添加物のことです。天然添加物という呼称を認めると、合成添加物も認めなければならなくなるので、「天然」を「既存」と呼ぶようにしたというわけです。
【既存(天然)添加物の例】
・着色料…カルミン酸(エンジムシをジュースにして色素成分を抽出したものです)
・甘味料…ステビア、カンゾウ抽出物
・天然香料…バニラ
・一般飲食物添加物…抹茶、トウモロコシセルロース
また、製造方法から分類すると次の4種類があります。
(1)合成添加物
天然には存在しないさまざまな化学薬品を混ぜて、化学反応をさせてつくったもの。
(2)微生物を培養してつくった添加物
培養とは微生物を増やすことです。アミノ酸、核酸、酵素などがあります。
(3)微生物の培養によりつくったものを原料として製造したもの
グルタミン酸ナトリウム、5’-リボヌクレオタイドナトリウム(化学調味料)、ビタミンCなど。
(4)天然物から抽出したもの
着色料(カルミン酸)、着色料(ラック色素。カイガラムシから抽出したもの)など。
皆さんは、好んで虫を食べるでしょうか。ここまで読んで、吐き気をもよおしそうになった方もいらっしゃるかもしれません。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)