100円ショップ業界の二番手であるセリア。「値段は安いけど品質は……」という業界イメージを覆すような高品質かつおしゃれな商品が受け、“デザイン性ならセリア”というブランドイメージすら確立しつつあるだろう。
こうした企業努力が功を奏し、2019年の7月から9月末までの合計売上高は879億6900万円に上り、前年比から5.5%もの伸び率を達成している。店舗数も拡大を続けており、2019年9月末時点で直営店は1582店舗、フランチャイズ(FC)加盟店は46店舗。バブル崩壊後の倹約ブームのなかで、今日まで躍進を続けてきたのはさすがだ。
しかしネット上では、一部の商品には「110円でももったいない」という厳しい感想も寄せられている模様。そこで今回、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」では「この冬、買ってはいけないセリアの残念グッズ5選」をピックアップした。せっかくの買い物で失敗してしまわないよう、ぜひご一読いただきたい。
ひつじの洗濯ボール 2個入り/110円(税込、以下同)
寒くなってきて、ロングソックスやニットなど、毛量の多い衣類の洗濯が増えてくるこの季節。別の衣類に糸くずや毛が絡まり、干すときにいちいち剥がさなくてはならない場面も多いのではないだろうか。
セリアの「ひつじの洗濯ボール 2個入り」は、そうしたシーンで活躍するはずの商品。ひつじの顔をかたどったポリエチレン製の中芯の周りには、羊のモコモコの毛よろしくスポンジが巻きつけられており、これを衣類と一緒に洗濯機に入れておけば、やっかいな糸くずを絡め取ってくれるというのだ。
だが、実際に使用してみた人からは「全然取れなかった」という、元も子もない感想が挙がってしまっている。冷静に考えれば、他の衣類も一緒に洗われているのに、このスポンジにだけ糸くずが絡みつく道理はないということか。購入するのは避けたほうが賢明だろう。
MONOKURO CHOPSTICK/110円
近年の100円ショップは、低価格かつ、つくりのしっかりとした食器やカトラリー類の充実ぶりも魅力のひとつ。セリアも、おしゃれで“高見え”する商品を数多く販売しているのだが、なかには要注意なアイテムも存在する。
そのひとつに数えざるを得ないのが、「MONOKURO CHOPSTICK」だ。その名のとおりシンプルな黒色をしたAS樹脂製の箸は、110円という値段を踏まえるとお得に感じられるだろう。
しかしいざ使ってみれば、表面が過剰にツルツルと加工されており、そのうえ箸の先端がしなりすぎるせいで、料理をつかみにくくなってしまっている。少し力を入れただけでグニャッと曲がってしまい、持ち手の力が思うように伝わらないという、実用性に欠けた一品なのだ。
レトルト絞り&カッター/110円
手軽に調理できて、あったかい料理が食べられるレトルト食品は、忙しい現代人には欠かせないだろう。だが、アツアツのレトルト食品をお皿にあける際、その熱さゆえに袋から上手く中身が出せないこともしばしば。
セリアの「レトルト絞り&カッター」は、上部にある金属製の刃で袋の封を切り、下部にあるポリプロピレン製の絞りで中身をしごき出す……という仕組みの商品だ。なかなか重宝しそうなものだが、下部の絞り部分には難点が目立つというのが実態である。
というのも、本体がしなりやすい素材でできているゆえに、袋を挟んでからスライドさせると、固定部分同士がズレてしまう。そのうえ、根元にもともと隙間があるので、持ち手側の手前がどうしても絞りにくいのだ。多少面倒でも、ミトンをはめて自分の手で絞ったほうが効率的かもしれない。
キッチンS字フック C/110円
かさばりがちな収納に、何かと役立ってくれるのがS字フックだ。シンプルな構造なのでいろいろな使い方ができるし、買い物バッグやレジ袋など、引っ掛けるものが多いキッチン周りなどではとりわけ有用だ。
しかし、セリアの「キッチンS字フック C」には要注意の疑いがある。フック先端の処理が甘く、素材である鋼線をそのまま切ったかのようなワイルドな切り口なので、下手をすると思わぬケガにつながりかねないだろう。
また、一見するとフック部分は深そうなのだが、吊るしたときに45度ほど傾くため、思っているほどの安定感はない。口径が太めのものに引っ掛けたら、場合によっては少し揺らしただけで落ちてしまいかねないのだ。
シートバッグ プリントチェック柄 2/110円
年末年始は買い物に出かける機会も増えるだろう。荷物をひとまとめにして持ち運べる100円ショップの大型PPバッグは、その便利さと安さが相まって、業界でも根強い人気を誇るアイテムだ。
セリアの「シートバッグ プリントチェック柄 2」は高さ約45×横55×マチ25cmで、他の100円ショップの類似品に比べてもかなりの大容量。だが、そんな利点を損なって余りあるくらい、ファスナー部分は心もとない。いい具合にかみ合ってくれず、締めるそばから開いていってしまうことが多いのだ。
それに、ファスナーが弧を描くようにバッグの側面部分まで伸びているため、端まで閉めてしまうと、開けるときに弧の頂点で止まってしまう。いくら大容量でも、使い勝手は他社製品に軍配が上がるのではないか。
――ここまで紹介してきたような例外もあるとはいえ、セリアのほとんどの商品は、ハイクオリティーでデザイン性にも長けている。本当に便利で使いやすい商品を見分け、冬の買い物を楽しんでほしい限りだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)