がんリスクの遺伝子診断、これでもあなたは受ける?低信頼の検査で人生不幸になる危険
頬の内側の粘膜や唾液を取って送るだけで、いろんながんや病気のリスクがわかるという、遺伝子診断が話題になっています。1万円程度のがんリスク検査や、3万円で150種類の病気の発症リスク(がん・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病等)と130種類の体質(血圧、肌質、長生き等)を調べることができるというものまであります。
さらにはダイエット対策の肥満遺伝子検査、性格・体質・特徴などの傾向を判定する自己分析遺伝子検査キット、ミトコンドリアDNAを調べて、数万年も前の母方由来の祖先についてわかる検査もあります。
先祖を調べる検査や、肥満対策などは興味半分に受けても差し支えないと思うのですが、問題はがんリスク検査です。
そもそも遺伝子の仕組みとはどういうものでしょう。
1990年に始まった「ヒトゲノム計画」というプロジェクトがありました。50億ドルの予算をかけ、10年かけて人間一人の全遺伝子を解析したのです。ところが解析技術の進歩により、今では1000ドル以下で、しかも数日で解析が終わってしまうようになったのです。
そうして得られた膨大なデータから特定の病気に関連する遺伝子を見つけだし、その遺伝子の有無を病気のリスク判断に利用しようというのがこのがんリスク検査です。
問題はその遺伝子マーカーにどこまでの信頼性があるかということです。
2013年、米ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんを発症していないのに両乳腺を全摘したという衝撃的なニュースに驚いた方も多いでしょう。彼女の血縁家族に2名の乳がん患者がいたため、遺伝子検査を受けたところ陽性だったといいます。
BRCA1、BRCA2という遺伝子を代々受け継ぐ系統があり、BRCA1を持つ女性の65%が乳がんに、39%が卵巣がんになる可能性があり、BRCA2はそれぞれ45%、11%の可能性があるといわれています。この遺伝子はかなり詳しく研究されており、リスクの信頼度は高いと思われます。
悪い結果が出たら、手術するのか
しかし、ほかのがんや高血圧、脳梗塞などの遺伝子マーカーはいまだ正しい検証のされていないものが多く、信頼性が上がるまでにはこれから何年もかかりそうです。