食品を食べるということは、同時に添加物も食べさせられているということを頭に入れてください。食品添加物はいろいろな安全性試験により安全性が証明されているはずですが、なぜ問題なのでしょうか。安全性は本当に証明されているのでしょうか。食品業界関係者の方々から、よく次のような質問を受けます。
「最近、食品の危険性に関するさまざまな本が売られているので読んでみました。食品に添加物がたくさん含まれているので健康によくないと書かれているのですが、なぜよくないのか、その理由が書かれていない」
「かまぼこには添加物が含まれているから食べるなとか、スナック菓子も添加物が多いから食べると危険などと書いてあるが、なぜ危険なのか理由が書いていない。単に危険だから食べるなといわれても困惑してしまう」
「食品添加物はいろいろな安全性試験を行い、その結果に基づいて厚生労働省が許可しているのだから、安全性は十分確保されているはずである。なのに、なぜ添加物が悪く言われるのかよくわからない。食品衛生の専門書なども読んでみたけど、この疑問に明確に答えてくれている本が見当たらない」
「添加物の研究に関与したことがない人の本が多すぎる。信用できない」
筆者は添加物の研究開発、安全性研究に携わった経験があります。そこで、こうした皆様の疑問に、懺悔の意味も込めてお答えいたします。
人間での安全性が証明されていない
食品添加物はいろいろな安全性試験により安全性は証明されているといわれていますが、本当でしょうか。食品添加物、医薬品、その他の化学物質の安全性試験(毒性試験ともいう)には、以下のようなものがあります。
(1)急性毒性試験…1回だけ動物に食べさせる
(2)亜急性毒性試験…1カ月、もしくは3カ月、動物に食べさせる
(3)慢性(長期)毒性試験…1年以上、動物に食べさせる
(4)催奇形性試験…奇形児が誕生するかどうかを調べる
(5)変異原性試験…微生物を使用して調べる
(1)~(4)はマウス、ラットなどのネズミやその他の動物に、食品添加物などの化学物質を食べさせて行う試験です。(5)はサルモネラ菌(細菌です。英語ではバクテリアと呼ばれます)などの細菌を使って行う試験です。この試験で陽性を示す化学物質は、発がん性を示す確率が極めて高いのです。