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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

肉・乳製品・卵の食べ過ぎは人体に危険?卵を毎日25個食べ続けた88歳男性が元気?

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授
肉・乳製品・卵の食べ過ぎは人体に危険?卵を毎日25個食べ続けた88歳男性が元気?の画像1「Thinkstock」より

 を毎日25個ずつ食べ続け、88歳になるまで元気に過ごしたという男性の事例が米国の専門誌に紹介されていました。彼の体の中がどうなっているのか、研究者たちが徹底的に調べたところ、食事として取ったコレステロールのほとんどが胆汁という消化液になり、便といっしょに体外に排泄されていたとのことでした。

 もともとコレステロールは、一部が消化液の材料となるのですが、この人の場合、特異な体質が幸いし、病気にならずにすんだわけです。この話からわかるのは、コレステロールの代謝には非常に大きな個人差があるということです。

 世の中には、コレステロールに関する疑問や誤解がたくさんあります。以下、それらに対する正しい答えをまとめてみたいと思います。

「卵は1日1個」といわれる理由

 2013年、米国の心臓病関係の学会が発表した『生活習慣改善ガイドライン』の中に、「食品中のコレステロール量が、悪玉コレステロールの検査値に影響するという科学的根拠は今のところない」という控えめな一文が掲載されました。

 これが引き金となり、昨年から今年にかけて日本を含む世界中の学会、行政が「食事でコレステロール値は変わらない」との大げさな声明を出すに至ったのです。この話は本当なのでしょうか。

 食事中のコレステロール量と検査値を比較したデータはそれほど多くなく、ほとんどが卵との関係について調べられたものです。卵が注目されてきた理由は、やはりコレステロール含有量が圧倒的に多く、かつほぼ一定だからです。鶏卵1個の黄身には250~280mgほどのコレステロールが含まれていて、これまでいわれていた1日許容量に相当します。「卵は1日1個」と強調されてきたのも、そのためでした。

卵は毎日1個くらいは積極的に食べたほうがいい

 しかし卵の摂取量とLDLコレステロール値との関係を調べた研究が、国内も含めて世界中で行われ、以下のような新事実が判明したのです。

「卵を毎日2個ずつ食べた人と、まったく食べなかった人を6週間追跡したところ、検査値に差はなかった」
「卵を毎日1個ずつ食べている人と2個食べている人を14年間追跡したが、心臓病の発生率に差はなかった」
「卵を毎日食べている人は、失明原因となる加齢黄斑変性症になりにくい」
「日本人女性は1日2個以上食べ続けると、検査値が少しだけ悪化する」

岡田正彦/新潟大学名誉教授

岡田正彦/新潟大学名誉教授

医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。


岡田正彦

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