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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

肉・乳製品・卵の食べ過ぎは人体に危険?卵を毎日25個食べ続けた88歳男性が元気?

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授

 卵に含まれる成分についての詳細な分析も改めて行われるようになり、9つの必須アミノ酸、ルテインなどの抗酸化物質、細胞膜や記憶物質の材料となるコリン、天然型ビタミンD、毛髪や爪の健康保持に必要なイオウや微量金属が豊富に含まれていることも確認されました。

 卵の利点はまだあります。たとえば動物由来の食品でありながら、心臓病の原因となる「飽和脂肪酸」の割合が極めて少ないことです。毎朝、卵を食べる習慣のある人は、朝食もきちんと取っているという話もあります。しかも卵はたんぱく質と脂肪の割合が絶妙で、満腹感があるためダイエットにもつながると米国農務省は述べています。

 卵に次いで、グラム当たりのコレステロール含有量が多く、しかも毎日大量に食べる可能性があるのが牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類です。とくに脂身、モツ、鶏皮にコレステロールが多く含まれています。ただし肉類は、種類や調理法によってコレステロールの量が大きく異なるため調査もうまくできず、どれくらい食べてよいのかは不明です。

 卵だけが大丈夫なのか、あるいは食材にかかわらずコレステロール摂取量と検査値とは関係が薄いのかは、依然として不明なのです。

 ひとつだけ確かなのは、肉類に含まれる飽和脂肪酸が、食べたあと体内でのコレステロール合成を促進してしまい、結果的にLDLコレステロール値を増加させることです。

 乳製品についても同じことがいえます。牛乳にはコレステロールがいっさい含まれていないため、問題点がこれまで見落とされてきました。しかし牛乳には、やはり飽和脂肪酸が含まれていて、大量に飲み続けるとLDLコレステロール値が悪化します。

 LDLコレステロール値が高い状態を放置すると心筋梗塞になる割合が高まりますので、すべての人がLDLコレステロール値に注意を払いつつ、以下の3点を覚えておくとよいでしょう。

(1)LDLコレステロール値が上がりやすいかどうかは体質によるところが大きい
(2)卵は1日2個までは食べても大丈夫で、毎日1個くらいは積極的に食べたほうがいい
(3)肉類の脂身、モツ、鶏皮、乳製品はなるべく控える
(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

岡田正彦/新潟大学名誉教授

岡田正彦/新潟大学名誉教授

医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。


岡田正彦

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