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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

サプリ頼みは愚の骨頂&無意味?「人工的合成品」より食事による栄養摂取

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
サプリ頼みは愚の骨頂&無意味?「人工的合成品」より食事による栄養摂取の画像1「Thinkstock」より

は怖いので飲みたくありません。サプリメントなら大丈夫ですよね?」

 このような質問をされることがよくあります。健康意識が高い人ほどサプリメントを飲んでいるように思いますが、食事に気をつけている一方でサプリメントを飲むということに違和感を覚えます。

 確かにサプリメントの場合、薬に比べれば激しい副作用はないでしょう。しかし、サプリメントもその多くが人工的につくられた合成品であることに変わりはありません。生活習慣を見直すことなくサプリメントに頼り過ぎれば薬と同じではないでしょうか。

 サプリメントは、あくまでも「健康補助食品」です。偏りがちな栄養を補うために一時的に飲むならよいと思いますが、野菜が嫌いだからとサプリメントを飲み、不足を補うのは本末転倒です。

 また、ビタミンCや食物繊維など、必要とする成分だけを取り出して凝縮して体内に入れても、それがどれだけいい影響をもたらしているかは疑問です。

 たとえば「ビタミンCがレモン○個分」といった表記がありますが、ビタミンCの場合、アスコルビン酸と、アスコルビン酸にカルシウムを付加したアスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸にグルコースを付加したアスコルビン酸グルコシドでは、摂取後の血中への移行速度や移行量に差があります。

鉄の種類によっても吸収率に違い

 また、貧血のときに摂取したほうが良いとされる鉄分は、吸収を良くするためにビタミンCも一緒に摂ると良いとされています。これは以下のような理由によります。

 一口に鉄分といっても、鉄分には、主に肉・魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品や卵・乳製品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は体内への吸収率が高く、非ヘム鉄は吸収率が低いという違いがあります。しかし、一般に現代の日本人が食事から摂取する鉄の85%以上が、吸収率の低い非ヘム鉄といわれています。主に野菜に含まれる非ヘム鉄は、ヘム鉄の約5分の1程度しか吸収されないとされていますが、動物性たんぱく質やビタミンCと同時に摂取すると、その吸収率は大きく変わってきます。

 日本人女性が必要な一日の鉄分量は10ミリグラムといわれていますが、鉄分をサプリメントで補う場合も、その鉄分がヘム鉄なのか非ヘム鉄なのか、ビタミンCや動物性たんぱく質が含まれているかによってもその吸収率は大きく変わるのです。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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