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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

サプリ頼みは愚の骨頂&無意味?「人工的合成品」より食事による栄養摂取

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 食事の中で鉄分を増やすことを考えるなら、牛肉や鶏肉に含まれる動物性たんぱく質は非ヘム鉄の吸収を高める効果があるので、野菜は肉などと一緒に食べることが大切なのです。また果物や野菜、特にイモ類に多く含まれるビタミンCは、非ヘム鉄を吸収されやすい形に変えてくれる働きをしてくれます。

 ただし、ビタミンCは水溶性ビタミンで溶け出しやすく、長時間加熱すると破壊されやすいので、水につけたまま放置せず、炒める時などは強火で短時間に調理することも大切です。

サプリではなく食事で栄養を摂る

 ほかにも、造血効果のあるビタミンB12、ビタミンB6、葉酸を多く含む食材、胃酸の分泌を高めてくれる酸味のある食品、香辛料なども、鉄分と一緒に摂るとよいとされています。

「貧血には鉄分」と考えがちですが、血液は鉄分だけでなくタンパク質やビタミンB群、ビタミンC、銅などからもつくられているのです。

 つまり、栄養バランスのよい食事が貧血改善に何より大切ということです。だからといって、これらの成分がすべて入っているサプリメントをそのまま摂っても、私たちの身体の中できちんと働いてくれるわけではないでしょう。やはり、食物そのものに含まれる生命力や自然の力にかなうものはないのです。「一物全体」という言葉には、そんな意味も含まれています。

 人間の身体は想像以上に緻密にできており、そう単純なものではありません。錠剤や粉末のサプリメントで栄養を摂ろうとしても、身体はそれをどれだけ「吸収しよう」と思うでしょうか。やはりおいしそうな食事を目で見て、「食べたい」という気持ちが湧くことで、身体も食事をする準備をします。そこで必要な栄養も吸収してくれるのです。

 人間も自然から生まれた生物です。やはり同じように生命力を持った食べものから栄養を吸収するようにできているのだと思います。

 どうしてもサプリメントを飲む必要があるなら、せめて人工的につくられた合成品ではなく、天然由来のサプリメントを選びましょう。たとえば、合成のアスコルビン酸ではなく、ヘスペリジンやアントシアニンなどを含有している「天然由来のビタミンC」は、アスコルビン酸単体に比べ、消化管から血中に移行するビタミンC量が多く、血中のビタミンC保持時間も長くなることが報告されています。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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