サークルKサンクスやam/pmなど、さまざまなコンビニチェーンを吸収合併することで勢力を伸ばし、現在では業界第2位の地位に君臨しているファミリーマート。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による不況の波からは逃れられず、2020年3月から6月までの4カ月間は、既存店日商と客数が前年の同月と比較して大きく落ち込んでいる。特にファミリーマートは都市圏への出店が多いため、ほかの大手チェーンよりも大打撃をこうむったようだ。
希望退職者の募集によって組織のスリム化を図り、販売不振の店舗を直営化して再生を試みるなど、抜本的な改善策に乗り出すファミリーマートが、ここから巻き返すことができるのか、注目だろう。
そんなファミリーマートでは定番商品やこの夏の新商品など、数多くの食品が販売されている。企業努力がうかがえるような優れた商品も多いが、なかには期待外れな商品もちらほらと存在している。
そこで今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」では、ファミリーマートの食品を独自に調査し、「この夏、買ってはいけない商品」5つをセレクト。あくまで調査班が独断で選んだものではあるが、買い物の参考にしていただければ幸いである。
炭火焼きとりかわ塩/130円(税込、以下同)
すっかりコンビニのホットスナックでは定番商品となった感のある焼きとり。大手チェーンではもも、かわ、ねぎまなどのポピュラーな種類の焼きとりが、タレと塩の2つの味で販売されており、各社特徴豊かな焼きとりを取り揃えている。だが、ファミリーマートの「炭火焼きとりかわ塩」をはじめとした塩味の焼きとりは、購入にあたって注意するべき点のある商品だ。
焼きとりの塩味といえば、あっさりとした味つけで、鶏肉本来の旨味をタレ以上にダイレクトに感じられるというイメージを持つ方が多いかもしれないが、残念ながらファミマの「炭火焼きとりかわ塩」は、その期待からは外れてしまうだろう。食べ終わったあとも後味がしっかりと残るような、べったりとした濃いめの味つけになっているのだ。暑い夏場にさっぱりした焼きとりを食べたいと考え購入すると、ギャップが大きすぎるに違いない。
焼きとり専門店のような塩味らしい塩味の焼きとりを食べたい方は、セブン-イレブンなどの焼きとりを当たるのが賢明だろう。しかしながら、ほかの大手コンビニチェーンと比較すると、なかなかにボリューミーで、味つけに関しても逆にガッツリと塩味のついた焼きとりが好みという方にはアリなのかもしれない。
鶏手羽元のスープカレー煮/398円
電子レンジで温めるだけで食べられるスープは、今やコンビニの定番商品といえるだろう。ファミリーマートにもクオリティの高い商品が並んでいるが、「鶏手羽元のスープカレー煮」は、あまりオススメできないスープとなってしまっている。
鶏の手羽元が2本入っていることが最大の特徴であるこのスープカレー。最大の難点は、値段に対してコストパフォーマンスが悪いことにある。ボリューミーな印象を与えるパッケージの写真と比べると、手羽元以外はジャガイモとにんじんが一切れずつしか入っていないため、やや肩透かし。スープも旨味があまり感じられず、辛いだけで掴みどころがないという印象を抱いた。
しっとりとした食感のジャガイモなど、それぞれの具材は問題なく美味しいのだが、スープの微妙さを補えるほどの魅力は、残念ながら持ち合わせてはいない。電子レンジで調理するスープカレーでは、コストパフォーマンスの面でも、単純な味のクオリティという意味でも、ほかのコンビニチェーンで高く評価されている商品が存在する。そえゆえに、わざわざこの商品を選ぶ利点は少ないと言わざるを得ないだろう。
たれづけ唐揚げ/240円
懐かしさとあたたかさのある商品を志向した、人気のお惣菜シリーズである「お母さん食堂」。当サイトで今年2月に掲載した記事『ファミマ、今買うべき“斬新な”食品5選…売切れ続出の照焼チキン、専門店並みバウム』で紹介した「宮崎風 炭火焼鶏」のようにオススメできる商品もあれば、先述の「鶏手羽元のスープカレー煮」のような微妙なクオリティの商品も存在するため、まさしく玉石混交といえる。
「たれづけ唐揚げ」も残念ながら、玉と石では“石”に分類されてしまう商品だろう。名前のとおり、特製甘酢だれと絡めた鶏もも肉の唐揚げをパッケージにした冷凍食品なのだが、衣までべったりと漬けられているため、唐揚げに求められるようなサクサクとした食感が完全になくなってしまっているのである。さらに、唐揚げ自体が脂っこいことも難点として挙げられる。夏場にこのべったり感や脂っこさが、マイナス要素であることは言わずもがなだ。
甘味と酸味のバランスが絶妙な美味しさとなっている特製甘酢だれなど、この商品ならではの魅力もあるため、余計に口惜しさが感じられる。サクサク感のない口当たりや脂っぽさをポジティブに捉えられるかどうかが、この商品を評価する分かれ目になるだろう。
ファミチキ/180円
ファミリーマートのホットスナックを代表する存在である「ファミチキ」は、ファミマフードの代名詞とも言える定番中の定番商品。シリーズの新商品が発売されたら思わず買ってしまうという熱心なファンも多いだろう。だが、そもそも“人を選ぶ”商品なのだ。今回買ってはいけない商品として挙げた最大の理由は、ズバリ持ち味でもある脂っぽさにある。
食べたことのある方はご存じだろうが、「ファミチキ」はペッタリとした衣が密着しており、中身の鶏肉も脂がぎっしりで全体的に非常にアブラギッシュな風味となっている。実際、噛むと脂がしたたり落ちるため、衣服を汚してしまった人も少なくないのではないだろうか。このジューシーさが「ファミチキ」の美味しさの理由でもあるのだが、30代以上のビジネスパーソンともなると、胃もたれが懸念されるほどの脂っこさだ。
登場から15年近くたってもなお愛される人気の商品だけあって、味自体は申し分ないのだが、健康に気を遣いたいタイミングでは、おいそれと食べるのは注意する必要があるというわけだ。
大阪王将監修 揚げ餃子5個/168円
50年以上の歴史を誇る「大阪王将」は、日本のみならず世界にも進出している人気の中華料理チェーンだ。そんな大阪王将の餃子をベースにつくられたホットスナックが「大阪王将監修 揚げ餃子5個」なのだが、残念ながらオススメしがたい商品となってしまっている。
大阪王将のお店の餃子と同じく、国産の豚肉とキャベツを使用しているとのことだが、実際に食べてみたところ、いたって平凡な揚げ餃子で、本物の大阪王将の味とは程遠く感じられた。温め直したほうが美味しくなるのではないかと思い、試しに電子レンジで再加熱してみたが、カリっとした食感を残していたことは良かったものの、脂が滲み出てギトギトしてしまった。また、このままではやや薄味であるにもかかわらず、餃子のタレなどが付いてこないのも不満点のひとつだ。
小さめのサイズとなっているため、おやつ感覚で食べる普通の揚げ餃子としてなら十分なクオリティだが、大阪王将の名を冠するには正直名前負けしてしまっている印象が否めない。純粋に大阪王将の味を堪能したいというのであれば、実際に店舗に足を運ぶかデリバリーサービスを利用して、本家の餃子を購入するべきだろう。
今回紹介した食品はどれも魅力がないわけでは決してないが、クオリティに期待しすぎてしまったり、注意するべき点を踏まえずに購入したりすると失敗してしまう可能性も……。比較的安価な商品が揃っているコンビニだが、慎重に買うものを選ぶ必要もあるだろう。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)