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正月用の千円のかまぼこ、なぜボソボソで不味い?加工デンプンまみれ、3カ月冷凍…

文=河岸宏和/食品安全教育研究所
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正月用の千円のかまぼこ、なぜボソボソで不味い?加工デンプンまみれ、3カ月冷凍…の画像1「Thinkstock」より

 正月以外は、かまぼこが食卓に上る回数は減ってきておりますが、筆者はヘタに解凍したマグロの刺身よりも、おいしいと思っています。そば店で、注文したそばが出てくるのを待っている間、板わさをつまみにして日本酒のぬる燗を飲むと「日本人でよかった」としみじみ思います。

 かまぼこは、魚のすり身でできています。魚を三枚に下ろして、すり鉢ですって塩を混ぜ、板の上に乗せて蒸し上げれば完成です。

 製造方法が単純な製品ですので、かまぼこの味、食感は魚の種類、すり身の製造方法で決まってしまいます。すけそうだら、鯛、グチ等の魚が主に使用されています

「船上すり身」といわれる、釣った魚を船の上で加工してすり身にしたかまぼこは非常に美味です。しかし、一般的には「陸上すり身」といわれ、スケソウダラ、ホッケ、イトヨリダイ、タイ、アジ、イカ等を、陸揚げした後に工場ですり身に加工します。

 鮮度、品質の良いすり身を使用すると、プリプリのかまぼこができます。逆に、品質の悪いすり身を使用すると、食感が悪くなりやすいのです。その場合、卵白、小麦粉、加工デンプンなどを使用して食感を良くするのです。

 しかし、鮮度の良いすり身を使用したかまぼこと、デンプン等を加えたかまぼこは、食感やうまみが大きく異なります。おいしいかまぼこを食べるためには、値段よりも原材料表示をよく確認して、でんぷんや卵白の含有率が低く、加工デンプンが配合されていない商品を選ぶことが大切です。

 ちなみに、かまぼこが一番売れるのはおせち料理を準備する年末です。かまぼこメーカーは、10月くらいから正月用のかまぼこを製造し、凍結して年末まで保存します。その製品には、解凍後の賞味期限をすでに表記してあります。

 凍結、解凍を経たかまぼこは、凍結していない物よりも食感が劣ります。正月にしかかまぼこを食べない方は、あまりおいしくない食べ物と認識しているかもしれません。正月用のかまぼこは、1000円以上する商品がほとんどです。スーパーマーケットの売り場で購入するときには、「このかまぼこは、できてから凍らせていませんか」と必ず確認してください。凍らせたかまぼこでは、ぼそぼそして本来のおいしさを味わうことができません。

 クリスマス前までに購入すると、製造されてから長期間凍結されていないおいしいかまぼこが、安く手に入る可能性が高いのです。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所)

河岸宏和/食品安全教育研究所代表

河岸宏和/食品安全教育研究所代表

1958年、北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、「農場から食卓まで」の品質管理を実践中。「食品安全教育研究所」代表。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハム・ソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け惣菜工場、卵加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。

「食品工場の工場長の仕事とは」

Twitter:@ja8mrx

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