2006年に千葉県船橋市に日本1号店が登場して以降、国内に多くの店舗を有するに至った家具ブランド「IKEA」。スウェーデン由来の洒脱なデザインの商品を、圧倒的な低価格で展開するそのスタイルが、日本人に広く受け入れられ、多くのファンを抱えることになった。
しかし、第18期(2019年8月期)決算公告によると、営業利益は意外にもマイナス8億5900万円で、連続赤字のスパイラルを抜けられずに苦しんでいるようである。だが、6月には国内初の都市型店舗を原宿に出店。加えて冬には渋谷への出店も控えているなど、2020年は逆境を打破しようとアクティブな挑戦をしているようだ。
そんなIKEAの高コスパな商品のなかには、一部品質に関してユーザーから不満の声が上がっているものもある。そこで、今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」はIKEAの商品を独自にリサーチ。「この秋買ってはいけないIKEAの商品」をピックアップした。
ヴァッテンテット(やかん)/1499円(税込、以下同)
秋も深まってくると、自宅で過ごすひと時にもホットドリンクのお供が欲しくなる。IKEAにはキッチン周りの雑貨も充実しており、お湯を沸かすやかんも複数ラインナップされているが、「ヴァッテンテット」はおすすめできない。
「ヴァッテンテット」は、半球体のようなまるいシルエットに半円がくっついたようなキュートなデザインの取っ手がひときわ目を引くやかんだが、公式サイトでのレビューの評価はすこぶる悪い。レビューでは「ステンレスのにおいが止まりません」「火にかけていると取っ手まで熱くなる」「水を入れる口が小さい」など、さまざまな角度からの不満の声が聞こえてくる。
また本品の取っ手は固定式なので「フタが開けづらい」という意見もあった。これ以下の値段でより使い勝手の良い商品がほかにもあることを考えると、購入は避けたほうがいいと言わざるを得ない。
モルクレッド(LEDライト)/799円
生活を豊かにしてくれる電化製品も、低価格で販売されているIKEA。「モルクレッド」もそのうちのひとつといえる商品で、「室内が暗くなると自動的に点灯し、明るくなると同時に消灯するLEDナイトライト」という触れ込みで、799円で販売されている。
この価格で売り文句通りの製品ならば素晴らしい商品なのだが、なかなかそうはいかないようである。実はこの「モルクレッド」、センサーの反応が弱く、かなり明るい光を受けないと消灯しないのだ。
実際に「モルクレッド」を自宅のコンセントに挿してみると、部屋の電気をつけていても元気に輝いており、灯りはずっと点きっぱなしだった。蛍光灯の明るさにもよるだろうが、ネット上にも同じことを指摘している口コミが多いのを見る限り、こうした経験をしている人は少なくないのだろう。1日中点いていても割り切って使えるという人でない限り、買わないほうがいいのかもしれない。
スヴァムピグ(食器用スポンジ)/129円
この季節、自宅で食欲の秋を満喫しようとする人も多いだろうが、料理の頻度が増えれば皿洗いも必然的に増えるもの。そうなると、食器洗い用のスポンジを頻繁に買い換える場面も多くなるだろう。そんなとき、IKEAで売っている「スヴァムピグ」には要注意。スポンジが3ピース入っていて129円と、かなりのハイコスパを誇る商品だが、品質を疑問視する声も聞こえてくるのだ。
レビューで見受けられるのは、「水切れが悪い」「つくりが粗い」「すぐへたる」というもの。実際に使ってみると水切れが悪いのは確かで、皿を洗おうとするたびにスポンジが生乾きなのは、あまり気分がいいものではない。また、表面が白いため、汚れが目立ちやすいのも気になった。
一方で「気兼ねなく捨てられる」「コスパがいい」という声も少なくないので、“使い捨て”と割り切って使用するにはちょうどいい商品なのだろうが、質の高さを求める方にはおすすめしがたい。
ヘルサ(水筒)/799円
近年のエコ意識の高まりによって、マイボトルを持ち歩く人も増えてきている。そんな背景からか、最近の水筒といえば、フタを開ければ直接口をつけて飲めるかたちのものが主流になりつつある。しかし、そんな時代の変化にマッチしていないことで、ユーザーの不満を募らせているのがIKEAで販売されている水筒の「ヘルサ」だ。
「ヘルサ」は、フタ兼コップに中身を注ぎ、そのコップに口をつけて飲むという懐かしいタイプの水筒。しかも、説明書きがボトルのなかに入っているので、購入後、家で開封するまで、このタイプだとわかりづらいのも難点である。
実際に、「ヘルサ」を直接口につけて飲むタイプだと思って購入したユーザーは一定数いるようで、「わかっていたら購入しなかった」との声も散見される。これには文化の違いも関係しているのかもしれないが、「ヘルサ」の購入を検討している人には、ぜひとも注意していただきたい。
ピヴリング(バックパック)/299円
IKEAは、アパレル関連の商品も取り揃えている。特にバッグ類の品揃えはアパレルブランドに匹敵するほどで、バックパックやメッセンジャーバッグ、トートバッグ、旅行用バッグまで幅広く展開されている。しかし、そのなかのひとつである「ピヴリング」はあまりおすすめできない。
「ピウリング」はグリーンとグレーの2色展開のバックパックで、大きめの水筒やA4サイズのノートがすっぽり入るほどのサイズ感でありながら、お値段はなんと299円。衝撃的な価格はかなり目を引くものの、そのつくりは値段相応。つまり“安かろう悪かろう”なのだ。素材はポリエステルを使用しているようだが、光が当たると安っぽくテカテカと光るのが気になる。また、ヒモ部分は子供が幼稚園に持って行く手提げバッグのような1本のヒモで、ユーザーからは「安定感に欠ける」との声があがっている。
IKEAには7999円のバックパック「フォーレンクラ」や3999円のバックパック「ヴェルデンス」など、しっかりとしたつくりのものも用意されているので、街で普段使いするバッグを探しているのなら、少々値段がしてもこちらを検討してみるのもいいかもしれない。
ここまで「この秋買ってはいけないIKEAの商品」5選を紹介した。今回はあえて、ユーザーの不満の声が目立つ商品をピックアップしているが、むしろIKEAには高性能で低価格な“買うべき”商品のほうが圧倒的に多い。この記事はIKEAでの買い物を十分に楽しむための参考程度に考えていただきたい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)
※2020年9月中旬時点の情報です。