新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、自宅で仕事をする人も増えている。ただ、会社と違うデスク環境に仕事が捗らず、長時間、自宅の椅子に座ることで腰痛や背中の張りなどに悩まされているビジネスパーソンも少なくないようだ。
そこで注目が集まっているのが「ゲーミングチェア」だ。ゲーミングチェアはeスポーツなどのゲーマー用に作られたチェア。長時間プレイすることを念頭に、体にストレスがかからない構造になっているため、YouTuberやプログラマーなどにも利用者が多い。このゲーミングチェアがテレワーカーに最適と、需要が高まってきているのだ。
ただし、もともと尖ったアイテムだけに、気軽に購入したら後悔するという声もあり、吟味が必要だ。そこで今回は、ビックカメラで見つけた、買ってはいけないゲーミングチェアを3つ紹介する(価格は税込み)。
バウヒュッテ BC-RS-200-BK ゲーミングチェア/1万9800円
バウヒュッテは「デスク秘密基地化計画」をスローガンにゲーミングデスクを提案している、日本のゲーミング家具ブランドである。チェアだけでなく、デスクやその他パーツを数多く販売しており、「東京ゲームショウ」でASUSのゲーミングブランド「ROG」とコラボするなど、着実にその地位を築いている。
そのバウヒュッテが学生ゲーマー向けに販売しているのが、この商品。プロ仕様の座り心地は維持しつつ、無駄を削ぎ落とすことで低価格を実現している。座部のクッション性と大型のランバーサポート(腰をサポートするクッション)が装備されているのはありがたいが、アームレスト(肘置き)が別売りとなっており、首をサポートするまでの丈もない。どちらかといえばオフィスチェア寄りの商品なので、本格的なゲーミングチェアを体感したい人には物足りない仕様なのである。
オフィスチェアとゲーミングチェアのいいとこ取りを狙った安価な商品なのだが、どっちつかずの印象になってしまった感がある。
ベルタギア SM115_BBL ゲーミングチェア/1万1220円
米国発のゲーミングチェアブランドであるベルタギア。2015年にゲーム愛好家と家具デザイナーによって設立された新興ブランドで、プロチームや公式大会でのスポンサー実績を誇っている。
今回の商品は、同ブランドのエントリーモデル。10万円ほどの商品が当たり前のゲーミングチェア市場において、この価格は非常に魅力的だ。高品質なPUレザー素材(人工皮)と縫製により、優れた耐久性とコストパフォーマンスを実現している。
ただ、この商品はランバーサポートとネックピローがついていない。価格相応といえばそうだが、オフィスチェアと劇的に違う部分は少ないのだ。また、デスクとバッティングする恐れもあるアームレストの高さ調整ができない。デスクとの相性が悪いと、かなりのストレスがかかることは必至だろう。
さらに致命的なのは、リクライニングがない点。ゲームや仕事の合間に背もたれを倒して休憩や仮眠をしたいという人には、おすすめできない商品だ。
クーガー CGR-SA1 ゲーミングソファ/3万1900円
2008年にドイツで創業されたPCデバイスブランドのクーガー。多様なゲーミングチェアが販売されている中で、クーガーは独自色の強い商品を打ち出した。それが、このソファ型ゲーミングチェアである。
長時間座っても疲れないノウハウを詰め込んでいるため、ストレスなく座れる構造が追求されており、座幅も広いため、大柄の人でも気にせず使用できるだろう。レザーでカバーし、ダイヤモンドチェック柄を施しているため、高級感も漂っている。
ただ、一般的なゲーミングチェアと比べると、リクライニングのレバーがなく、自力で上げ下げしなくてはいけないのがネックだ。腹筋が弱っている人にとっては、リクライニングを倒してから戻すのに一苦労するだろう。
さらに、このソファはデスク利用を前提とする人には不向きである。アームレストや座高が調整できず、キャスターもついていないからだ。本体も大きいため、デスクとの相性は悪い。そのため、テレワーク用に買う人や、マウス・キーボードでゲームをする人にはあまり向いていない。
ただ、コンソールやスマホでゲームをする人にとっては、普通の一人がけソファとしては十分すぎる座り心地を提供してくれるだろう。また、ゲーミングチェアは組み立てが面倒なものも多いが、ほぼ組み立てなしで使用できる点もうれしい。
完成度が高いわりに値段はそこまで高くないため、お得ではあるが、用途を間違えると後悔してしまう商品かもしれない。
(文=清談社)