痙攣や精神錯乱も…危険な熱中症、なぜ低温や室内でも多発?簡単な防止法?
5月中旬以降、日本各地で「30℃以上の真夏日」が観測されており、それに伴って「熱中症」で搬送される人もうなぎ上りに増加している。
熱中症は文字通り「熱に中(あた)る」という意味で、体の内外の「熱さ」によって引き起こされるさまざまな症状である。つまり「体内の熱産生が高まっても、外界への熱放射が困難な状態」で起こる。
前兆として「頭重」「倦怠感」「あくび」「めまい」「手足の運動障害」が起こる。ひどくなると「痙攣」や「精神錯乱」を起こし、「体温上昇(特に40℃以上)」をきたす。
熱中症は、「炎天下の高温と直射日光が原因」と考えられがちであるが、温度より影響が強いのは、実は湿度である。よって、28℃くらいの温度の室内で発症することもよくある。高湿度の環境下では汗をかいても蒸発しないので、気化熱による体温低下が起こらず、「熱中症」にかかりやすくなる。気温30℃以下でも、湿度が60パーセントを超えたら要注意だ。
熱中症と思われる人がいたら、
(1)衣服をゆるめ、胸元を開き、放熱を助ける
(2)日陰の涼しい場所に横に寝せる
(3)うちわや扇風機で頭や首など上半身を冷やす
(4)冷水や、冷水でしぼったタオルで頭や首を冷やす
(5)水分(スポーツドリンクや昆布茶、自然塩を含んだ水、茶など塩分を含む水分)を補給する
などをしてあげ、それでも症状が改善せず意識が薄れていくようなら、すぐ救急車を呼ぶことだ。これが、一般的な熱中症対策である。
「水中毒」
さて、「暑い日の熱中症の予防対策」として、「こまめに水分を補給する」ことが勧められているが、水分の「摂りすぎ」には思わぬ落とし穴があるから要注意だ。
日本人の死因の2位(心疾患)と4位(脳血管疾患)が「血栓症」であるから、ここ20年くらい「血液をサラサラにするため」に「水分を1日2リットル以上飲むこと」「こまめに水分の補給すること」などと指導されている。
しかし、飲みたくもない水分を不必要に摂り、体内に余分な水分が多くなると、「肩こり」「頭痛」「めまい」「耳鳴り」「ふわっとした感じ」「不安」「不眠」「動悸」「吐き気」など、身体症状のほかにも、精神症状も含んだ、多彩な不定愁訴が出現する。これを漢方医学では「水毒」といい、2000年も前から「水分の摂りすぎ」について警鐘を鳴らしていた。