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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

痙攣や精神錯乱も…危険な熱中症、なぜ低温や室内でも多発?簡単な防止法?

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

「水毒」は漢方医学独特の概念かと思っていたら、そうではなく、西洋医学にも「水中毒(water poisoning)という用語があった。『NANZANDO’S MEDICAL DICTIONARY』(南山堂)によると、「水を多飲して排泄と排尿の平衡が破れると、不安、めまい、頭痛、吐き気、下痢、痙攣、アタキシー、昏睡などの症状を是し、はなはだしい場合には死に至る」と「水中毒」の詳細がなされている。

 よって、飲みたくもない水分を無理して摂取し、今述べた症状のひとつでも2つでも発現したら、「水(中)毒」を疑う必要がある。「水(中)毒」の具体例については次回に譲る。

体温調節能力を高める

 さて、話を「熱中症」に戻す。

 50年前までの我々の幼少期から青年期までは、クーラーなどは存在せず、うちわや扇風機で涼をとっていた。炎天下で長時間歩いたり、労働したりすることで、日射病にかかる人はいたが、その予防には麦わら帽子をかぶることを勧められていた。当時の室内は、今よりずっと蒸し暑かったが熱中症にかかる人はほとんどいなかった。

 よって今流行の熱中症は、暑熱や湿気だけが原因ではないといえる。

 真の原因は「我々、現代人の体温調節機能が低下、劣化している」点である。暑いときは発汗する。その汗(水分)が蒸発(気化)していくときに、気化熱を体から奪って、体温を低下させる。このメカニズムで人類は何百万年もの間、暑さをしのいできた。

 しかし最近はいたるところにクーラーが設置されており、汗をかく機会が減った。その結果、「発汗による体を冷却する能力が劣化してきた」ために、熱中症で倒れる人が増えた、といっても過言ではない。

 よって日頃から、運動、入浴、サウナ浴、岩盤浴、ホットヨガなどを励行して発汗し、体温調節(低下)能力を高めておくことこそが、真の「熱中症対策」といえるのではないか。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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