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ノアの大洪水前の人類、寿命1000年だった可能性

文=水守啓/サイエンスライター
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過剰な放射線被ばくが健康を害する?

 聖書によれば、地球の創世記、神は地上に留まる水と大空の上に留まる水をつくった。地上に留まる水は海を指すが、大空の上に留まる水は、かつて上空に存在したとされる厚い水蒸気層(氷の層)を指し、その温室効果で地球全体は温暖であったとされる。

 ところが、今から6000年ほど前から1万数千年前まで諸説あるが、ノアの時代、地上に創造した人間たちが堕落していったのを見た神は、すべてを滅ぼすことを決心した。神は40日40夜にわたって地上に雨を降らせ、大洪水を起こし、ノアの家族とつがいの動物たちを除いて、地上の生物を一掃した。上空に存在した厚い水蒸気層は雨として落下したため、陸地は大幅に減り(地下から溢れ出た水もあったと思われる)、現在のような水の惑星が生まれた――。

 洪水伝説は世界中に存在するが、もしノアの大洪水が実際に起こった出来事だと仮定すると、それ以前の世界においては、今日我々が当たり前に目にすることができる夜空の星々や日中の青空などは存在しなかったことになる。そう言うと、かつての地球は薄暗く、色彩美に欠けた、魅力のない世界だったのだと想像する人々もいるかもしれない。

 だが、実際的なことを考えるとその逆で、当時は本当に地上の楽園だったのかもしれない。

 たとえば、我々を含め、地上の生物にとって、太陽がもたらす光という電磁波は栄養であり、生命の源である。だが、そんな電磁波はすべて栄養になるわけではなく、我々は適切なレベルで浴びる必要がある。そのためのフィルターとして、有効に機能してきたのが磁気圏とヴァン・アレン帯や大気の存在である。

ノアの大洪水前の人類、寿命1000年だった可能性の画像1地球の磁気圏

 磁気圏は、棒磁石の周囲に形成される磁力線(磁場)のように地球を覆い、有害な太陽風や宇宙線から我々を守ってくれている。これは自然のサイクルに左右され、大洪水の影響はほとんど考えられないが、現在の地磁気0.24~0.66ガウス程度と比較すれば、当時ははるかに高く、1~5ガウス程度で厚く保護されていたと考えられている。

 一方、大気に関しては、大洪水によって大きく変化したと考えられる。上空の水蒸気層が雨として消えてしまったことにより、我々はかつて以上に有害な電磁波や宇宙線といった放射線に曝されるようになった。さらに、温室効果が失われ、極地の寒冷化や季節による寒暖差が厳しくなっていった。これは、人類を含めた生物の健康に大きく影響を与えた可能性がある。

 長寿動物を考えてみると、わかりやすいかもしれない。たとえば、カメは厚く丈夫な甲羅というフィルターを持ち、有害な放射線から守られ、土の中に潜って体温変化を最小限に止めることができる。また、ミル貝、ハマグリ、ウニなどは数百年生きられるが、やはり、殻を持ち、温度差の少ない海中で暮らす。同様にして、深海で暮らす生物や洞窟等の暗闇で暮らす生物にも長寿の傾向がみられる。

 だが、人間は厚い甲羅を持つこともなく、地中や水中で暮らすことはない。聖書によると、大洪水以前の登場人物アダムは930歳、セツは912歳、エノスは905歳、カイナンは910歳、マハラレルは895歳、ヤレドは962歳、エノクは神にとられたので365歳、メトセラは969歳、レメクは777歳、そしてノアは950歳まで生きた。だが、その後、セムは602歳、アルパクサデは438歳、シラは433歳、エベルは464歳、ペレグは239歳、アブラハムは175歳、ヤコブは147歳というように急速に寿命が短くなっている。

 つまり、大洪水の際、厚い水蒸気層を失ってしまったがために、我々の寿命は10分の1以下に短縮されてしまった可能性がある。

高濃度酸素と高大気圧がもたらす力

 大洪水以前、大気の組成も今日とは異なっていたと思われる。

 1987年10月29日付「NewYorkTimes」誌および2000年3月11日付「New Scientist Magazine」誌によると、アメリカ地質調査所の地質学者ゲリー・ランディスとイェール大学の地質学者ロバート・バーナーは、3億年前という遠い過去のことであるが、琥珀中に気泡として閉じ込められていた太古の空気を分析したところ、現在の21%という濃度に反して、32%(「New Scientist Magazine」誌では35%)もの酸素が含まれていたことを確認している。その後も同様の調査が行われ、かつては酸素が30%程度は存在したことがわかっている。そして、ノアの時代においても酸素濃度は現在よりもかなり高かったと考えられている。

 大気圧も今日に至るまで大きく変化してきた。地球の創生期には300気圧以上あったといわれるが、気温の低下、地殻変動、生物の誕生等によって次第に低下していき、恐竜の生息した時代には3~5気圧程度あったとされる。

 中生代白亜紀後期に生息していたプテラノドンは、空を飛ぶ翼竜として知られているが、翼を広げると7~9メートルに及び、体重、筋肉などのバランスを考えると、実際に飛ぶことができたのかどうか、その飛翔能力が疑問視されてきた。だが、かつての高い大気圧に加え、高濃度の酸素が存在する環境においては、プテラノドンは運動力を高めることになり、現在の大気中と比較すると、その飛翔能力は5~10倍程度に及ぶと見込まれる。そのため、体重が100kgに及んだとしても、苦もなく空を羽ばたくことができたと考えられ、飛翔能力の謎は氷解することになる。

 そして、大洪水前後で気圧は変化したと考えられる。というのも、かつて地球が厚い水蒸気層に覆われていたとすれば、頭上には重い層が存在したことになるからである。当時の大気圧は現在のそれよりもはるかに高く、2倍ほどあったともいわれる。

かつて地上には長寿の楽園があった?

 酸素量が多く、大気圧が高かったメリットは大きい。怪我をしても感染症に罹るリスクは低下し、病気からの回復は早まり、スタミナは増す。特に、体内(血中)での酸素運搬効率が高まる作用は広く知られており、医療の世界においては、高気圧酸素治療として実際にその有効性が活用されている。

 また、20世紀の終わり頃、米テキサス州のカール・ボウ博士は、ノアの大洪水以前の酸素濃度、気圧、磁気レベルなどを再現した「高圧生物圏(Hyperbaric Biosphere)」と呼ばれる密閉空間をつくり出し、その中でさまざまな生物を育ててみる実験を行っている。その結果、ショウジョウバエの寿命は3倍に伸び、ピラニアの成長は2年半で5cmから40cm超へと加速した。さらに驚いたことには、アメリカマムシの毒液が分子レベルで変化して、毒性が消える傾向すら現れたのだった。

 ちなみに、非公式な情報ではあるが、NASAの研究者(中年男性3人)が高圧生物圏内で1~3カ月程度過ごしたところ、白髪や小じわが消えて、精力が高まったことを報告したという。

ノアの大洪水前の人類、寿命1000年だった可能性の画像2高圧生物圏の前で語るカール・ボウ博士

 かつての地球では、高気圧、高濃度酸素の下、植物も動物も元気に大きく成長し、上空に存在した厚い水蒸気層のフィルター効果で過剰に放射線を浴びることもなかった。そんな条件を考えると、聖書が伝えたように、本来、人類の寿命は1000年にも及んだが、ノアの時代の大規模な環境破壊によってそれは10分の1以下に縮まった可能性が見えてくる。

 薄暗い温室で長寿を全うできた時代と、美しい星空や青空の下で短い人生を過ごす現代、いったいどちらが魅力的だろうか? そして、これは単なる神話や伝承として受け流していいことなのだろうか?
(文=水守啓/サイエンスライター)

水守啓/サイエンスライター

水守啓/サイエンスライター

「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、リバース・スピーチ分析家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。

著書に『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研プラス)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』、『世界を変えるNESARAの謎』(明窓出版)などがある。

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