ひとり暮らしをしていると、食事の準備をするのが面倒で、ついついコンビニ弁当に頼ってしまったり、菓子パンで食事をすませてしまったり――。そんな心当たりは、ないだろうか?
しかし、リモートワークも浸透しつつあるなかで、せっかくならお家時間を有効に使って美味しいご飯を簡単につくれたら助かるだろう。そんな単身者の願いを叶えるために、昨今、おひとりさま用の便利すぎるお料理グッズが多く登場している。
例えば、シロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」。この商品は、自宅で簡単に鍋料理を楽しむことができる優れもの。コンロも調理器具も使用せずに、この鍋ひとつで本格鍋料理をつくれるのはもちろん、湯切りが付いているのでパスタやうどんのような麺類も簡単に調理することができる。ひとりで食べきれず余ってしまったら、冷蔵庫に鍋ごと保存できるのもまた便利なポイントだ。
ほかにも、さまざまなおひとりさま用便利ガジェットがあるなかで、筆者が今回注目した商品はTHANKOの「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」。
弁当箱の炊飯器とはなんぞやと首を傾げる方も少なくないだろう。しかし、この商品が今、テレビや雑誌で取り上げられるほど大きな話題を呼んでいるのである。
その理由はなんといっても、「早炊き14分」という魅力的なワード。たった14分で、概ね1人分の0.5合が炊けるというのだ。しかもコンセントがある場所ならばどこでも使用できるので、自宅だけでなくオフィスなどにも持ち込んでご飯が炊けるという。
果たして本当にそんな短時間で、しかも場所を選ばずに美味しいごはんが炊けるのか。次々とこの商品の利便性に疑問が浮かんでくる。そこで今回、筆者が実際に「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」を使用し、本当に便利な商品なのかを検証した。
簡単に、短時間でご飯が炊ける魔法のお弁当箱
注文から2日後に商品到着。箱を開けてみると、中に入っていたのは「炊飯器本体」「炊飯器のフタ」「電源コード」「計量カップ」「ふたのつまみ部分の替え」、あとは取扱説明書とお手入れの方法が追記された書面2枚。
弁当箱炊飯器のカラーバリエーションは、「白色」「さくら色」「藍色」の3色が用意されていたので、今回は「さくら色」を購入してみた。薄ピンクの色が可愛らしい。サイズは、幅24cm×奥行き10cm×高さ8cmとコンパクトにまとまっているので、持ち運ぶのにはぴったりなサイズ感だろう。
さっそく説明書を読みながら、お米を炊いてみることに。この弁当箱炊飯器は、最大量1合、最小量で0.5合が炊けるようなので、お腹をすかせていた筆者はお昼ごはんとして、まず1合炊きを試してみた。
お米の量は付属している計量カップを使って量ることができる。お米1合分の150gは、計量カップすりきり3杯。きっちり量って、お米を研ぐ。お米を研ぐ手間は職場などの外出先では少々不便だが、無洗米を使えばお米を研ぐ作業は省けるため、外で弁当箱炊飯器を使用するときには無洗米を持っていくことをおすすめする。
研いだ後は炊飯器本体にお米を移し、付属の計量カップで水を注入。説明書には1合分の水量の目安が、250ml~300mlと書かれていたため、間をとって280mlで炊いてみる。お米を10分程度水に浸してから炊飯するとより一層美味しく炊きあがるようなので、水を入れてから10分待つことに。
ちなみに、炊飯器本体の内側に水位の目安が書かれている。少し見づらいが、minは0.5合炊き分の水量140ml、maxは1合炊き分の水量300mlが目盛りを見ただけで、わかるようになっている。いちいち計量カップで水を計るのが面倒だと感じる方は、この目盛りを使えば簡単に炊飯分の水を入れることができる。
10分お米を水に浸したら、さっそく炊飯にとりかかる。弁当箱のフタをしっかり閉めて、電源コードを炊飯器と繋ぐ。そして電源コードに付いている炊飯スイッチをONにすると、スイッチも炊飯器本体も赤いランプが点灯。
炊飯を開始してから炊きあがりまでの時間の目安として、1合で約19分半と書かれているので、実際に炊きあがり時間を計りながら待つことにした。
待っている間、気になっていた炊飯の音に注目した。お米を炊くときのグツグツ音は多少するものの、炊飯器から抜けるシューッという蒸気の音は聞こえず、静かな空間で使用してもそこまで気になる音量ではなかった。
これなら同僚たちが仕事中のオフィスで使用しても問題ないだろう。ただ、蒸気が出ていないわけではないので、炊飯している間にフタの上に手をのせないように気をつけなければならない。
ひとつ気になった点としては、炊飯している途中に少し吹きこぼれたことだ。水の量はきっかり280mlを入れてmax水位の300mlを超えていなかったが、少し吹きこぼれてしまった。注意書きに「水分量が多いと吹きこぼれの原因となります」と書かれているため、しっかり水を計ったのだが……。職場のデスクで炊飯する際には、念のため近くに書類など濡れるようなものは置かないように注意が必要かもしれない。
炊飯が終わると保温状態になり、炊飯器本体のランプが赤から緑に点灯。炊飯時間は約20分だった。おおよそ説明書に書かれていた炊飯時間と変わらずに炊けたことになる。炊飯が終わったとき音がならないので気づきにくいが、電源コードにつないだままであれば保温状態が続くため、冷めてしまう心配はない。
炊飯が終わってから5~10分程度蒸らせば完成。炊飯器内の温度が約60度以下に下がると、仕様上再加熱をするため、電源コードを繋いだまま食べないように注意が必要だ。
肝心のご飯の炊きあがり具合はというと、ちょうどよく炊きあがっていて本当に美味しかった。お米に芯が残っている感じもなければ、自宅にある炊飯器で炊いたお米と遜色なく、ふっくらとしていてもちもち。短時間で簡単に、このクオリティのご飯が炊けるのは正直驚きである。
次に0.5合炊きも試してみた。0.5合炊き分のお米は75g、付属の計量カップですりきり1杯半。0.5合分の水量の目安は、120ml~140mlと書かれていたので、間をとって130mlで炊飯してみることに。先程と同じ手順で炊飯を開始。炊きあがり時間の目安は14分のようなので、また炊きあがるまでの時間を計測しながら待った。
今回は、水の量が1合炊きよりも少ないからか吹きこぼれもなく、目立った音も出ず、炊飯器はこんなに静かな機械だったかと思ってしまうほど問題なく炊飯が終了。炊飯時間はおよそ15分半。こちらもまた目安と変わらずに短時間で炊飯することができた。
5~10分程度蒸らしてからさっそく試食。1合炊きと同様、お米がもっちりと炊けており、美味しかった。ただ、少し水の量が多かったのか、お粥っぽい味も感じた。0.5合炊きをするときは水の量を少なめにして炊くと、さらに美味しく炊けるかもしれない。このように水の量を自分で調整して、自分好みのご飯を炊くことができるというのも高評価を得られるポイントだろう。
片付けもラクラク、安心して使える優秀ガジェット
使用後のお手入れ方法も思っていたより簡単で驚かされた。
普通の弁当箱と違って、この商品は炊飯器も兼ねているため、電源コード部分から本体内部に水が入ってしまうと故障したり、発火したりしてしまうのではないかと心配していたのだ。しかし、電源部分に防水キャップが付いているため、このキャップをしっかり閉めて洗えば中に水が入る心配もなく、問題なく丸洗いすることができる。
フタの部分も、このようにパッキン、金属蓋、プラスチック蓋に分けてひとつずつ洗うことができるので綺麗さを保って使い続けることができる。
この商品のウリである、短時間で美味しいお米が炊けるという触れ込みに偽りなしと感じた。ただ「早炊き14分」というのは0.5合の場合で炊飯時間のみの時間なので、炊飯する前に水につけておく時間や蒸らし時間も合わせると、30分程かかってしまう点は注意したい。
それでも普通の炊飯器よりも短い時間でご飯を炊けるうえに片付けも簡単。何より職場でほかほかご飯を楽しむことができるメリットは大きいだろう。コンビニ弁当のご飯などに飽き飽きしている方は、ぜひこの「弁当箱炊飯器」で美味しいご飯ライフを満喫してもらいたい。
(取材・文=海老エリカ/A4studio)