消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
統計的には、受胎から1歳までの間に気温が32度以上となる日が1日あるごとに、30歳における平均所得が0.1%減少すると算出されました。気温と収入の科学的な因果関係については触れられていないものの、異常高温による学習・労働意欲や作業効率の低下、健康上の問題の発生などが間接的な原因となり、収入に影響を及ぼす可能性は容易に想像できます。
前述の多数の死者が出たインドでは、気候変動によって大規模な干ばつが発生し、所得を失った農場主が暴動や自殺に至っているという事実もあります。
農作物への影響については、日本の農研機構が農業のIT化や耐気候変動遺伝子組み換え作物の普及も盛り込んだ最新のデータに基づき、トウモロコシとダイズは今世紀末までの気温上昇が1.8度未満でも、また、コメとコムギは気温上昇が3.2度を超えると収量増加が停滞し始めることを発表しました。
地球の人口は増大を続けており、この結果は、気候変動に対してなんらかの対策を講じなければ、多くの人が飢えに苦しむ時代がまもなく来るかもしれないことを示しています。
「Sima / PIXTA」より
すでに、私たちがなんとなく「最近、天気がおかしいな」と感じているように、気候変動は実際に進行中であり、さらにそれは人類の将来がどのようになるかを決定する最重要因子と考えられています。
そんな時代において、気候変動観測衛星しきさいは、子孫に美しいままの地球を残すには私たちがどう振る舞えばいいか、そのヒントを教えてくれる重要なデータをもたらすものとして期待されています。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー)
【参考資料】
「気候変動観測衛星『しきさい』(GCOM-C)」(JAXA)
「Explaining Extreme Events from a Climate Perspective」(アメリカ気象学会)
「温暖化の進行で世界の穀物収量の伸びは鈍化する」(農研機構)
『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』 地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.06.26 17:00
2024.06.19 16:35
2024.03.17 17:30
2024.02.27 09:34