忙しい日々のなかで、自分のパフォーマンスが下がりがちだと感じたり、いまいち調子が出ていないと実感したりすることがある。
労働によるアウトプットの基準は大きく変化してきている。「どれだけ長く働いたか」よりも「どれだけ効率的に大きな成果を上げられたか」が重視されるようになっているのだ。では、そうした時代のなかで、常に生産的でハイパフォーマンスを出せる人間になるには、どうすればいいのだろうか。
『心を休ませるために今日できる5つのこと』(集英社/ボニー・セント・ジョン、アレン・P・ヘインズ著、三浦和子訳)では、その秘訣を「日々のなかのこまめな回復」だと指摘している。トップスポーツ選手も、プレーとプレーの合間にこまめな回復を実践し、自分のパフォーマンスが落ちないようにしているというのだ。そして、これはビジネスの現場でも応用できるものである。
その「こまめな回復」には、以下の5つの要素がある。
1.脳の使い方を切り替える(リフォーカス)
2.原始的な恐怖をリセットする(リセット)
3.思考のクセを見直す(リフレーム)
4.体をリフレッシュする(リフレッシュ)
5.心を活性化する(リニュー)
今回は、この中から「3.思考のクセを見直す(リフレーム)」「4.体をリフレッシュする(リフレッシュ)」をピックアップし、その方法を紹介していこう。
思考のクセを見直す(リフレーム)
自分の思考を見直す方法はいくつかある。本書から、2つ抜き出してご紹介しよう。
(1)ジョイキットによる見直し
避けることのできない悲観や拒否、不満などの感情を、前向きで感謝と創造力に満ちた状態に素早く変えてくれるのが、「ジョイキット」(喜びの救急箱)である。
何かあったときに、これらに触れながら数分手を休める。そうして、「落ち込んでいる」状態から「さぁ、やるぞ」という気にさせてくれるのが「ジョイキット」なのだ。
(2)日々の見直し
こちらはネガティブな状況への対応策ではなく、毎日のポジティブ思考訓練によって、ものの見方を改善するためのメソッドである。本書の著者は「日々の中でポジティブなことにフォーカスする時間を持てれば、創造性やフィードバックの受容性、チームワークのスキルが向上することがわかっている」と述べる。その方法には、たとえば次のようなものがある。
・毎朝、感謝していることを3つ書き出してみる
・毎晩、心のこもったお礼のメールを3通書く
・ひとりで出かけて、普段は当たり前と思っている自然現象を観察する
ポジティブに考える習慣付けができれば、常にパフォーマンスを最大にすることができるはずだ。
『心を休ませるために今日できる5つのこと』 ハイペースな現代の生活の中で、疲れ切った頭と心を抱える私たち。燃え尽きそうになる前に、小さな工夫を少しずつ実行することで、心を休ませて、自分が持つ能力を最大限にいかすのが、この本で紹介する「マイクロ・レジリエンス」のテクニックだ。著者ふたりが困難を乗り越えるのに役に立った方法をまとめて、何千人という人たちにインタビューし検証と修正を重ね、誕生した。