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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第13回

疑問だらけの日焼け止め、選び誤ると肌に大ダメージ? エステやコラーゲンのウソ

文=へるどくたークラレ
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無鉄砲に焼いてもいいのは10代まで。それ以降は、できるだけ日焼け止めを使いましょう。

 特に、日本は日焼け止めに対する理解がある状態とは到底いえず、日焼け止め自体、夏場しかまともに売っておらず、売り場も限られることから軽視されているのが分かります。

 紫外線の強い諸外国(アメリカ・カリフォルニアや、オーストラリアなど)では、UV対策コーナーは、もはや美容を超えて、日常に必須なものとしてスーパーでシャンプーボトルサイズのものが安価で売られています。対して、日本は多くの製品が無駄に高額で、故にケチケチと使いがちですが、それでは効果は半減、紫外線対策クリームは多めにつけないといけません。おまけに、コラーゲン配合などというあやしいものもあります。コラーゲンは肌から入りません。

●新成分も登場 紫外線対策成分について

 さて、ちょっと前までは、日焼け止め成分といえば「酸化チタン」と「酸化亜鉛」でした。どちらも紫外線を止めて別のエネルギーに変えたり、乱反射させて飛ばしたりと、物理的に反射する意味合いが強い素材で、無機化合物であることから、無機系紫外線反射材などと言われています。

 この2つの成分においては、いずれもナノ粒子版が存在しており、非常に粒子が小さいので、今までは塗ると白くなってしまっていたのが、相当軽減されるというものです。ただ、もともと物理的に光を反射する性質上、ナノ粒子のみでつくった日焼け止めは効果が低く、結果的に、従来品との混合になり、塗った部分が白っぽくなってしまうのは仕方ないといえます。ドーランやファンデーションに含まれる酸化鉄で色味を調節したものもありますが、やはり「塗った」感は否めません。
 
 そこで最近、合成された有機化合物を主剤とした日焼け止めがいくつか登場してきています。花王のニベアサン プロテクトウォータージェル等では、メトキシケイヒ酸エステルという、紫外線自体を分子が吸収してしまう成分が使われています。

 これらの有機系成分は、もともと印刷物の紫外線劣化を防ぐために開発されたもので、かなり前から使用されていたのですが、人体への有害性が極めて低いということから、近年使用量の緩和が行われ、さまざまな商品が出始めています。
 
 「結局どれがいいの?」というのは短絡的な質問です。実際の使用場面に応じて、体質、肌質に合わせて、体と相談しながら使っていくというしかありません。そもそも「コレがいいよ」「この商品がベスト」なんて話は、耳障りはいいのですが、一部の人の話です。千差万別の体質に100%適合する商品なんてものは存在しません。

●使い方は場所と量に気をつけて

 日焼け止めの数値、SPFというものが書いてありますが、アレはなんなのでしょうか?

 SPFとは紫外線防御指数のことで、数値2あたり約1時間、日焼けの速度を遅くすることができるという意味です。SPF20であれば、10時間日光を浴びても1時間分しか日焼けしないというという数値です。ですからSPF自体は25もあれば実際は十分で、SPF50とかSPF100といったものはナンセンスです。むしろ成分が濃すぎて肌に負担が大きいといえます。

 しかし、この数値、1平方センチ(1cm×1cm)に2mgという量を塗った場合です。指先に取るクリームの量はせいぜい2~3g(2000〜3000mg)。これを顔全体に塗り広げると、1平方センチに2mgもありません。

 また、汗や脂で流れ落ちてしまった部分は、当然日焼け止めの効果がありません。SPFはあくまで、ガラス板に塗って測定された理想値にすぎません。
 では、どうすればいいのでしょう?

 まずは、TPOを考えることです。日常的に1〜2時間外で日差しを浴びるのであれば、SPF20〜30程度のものを2度塗りしておきます。一度均一に塗って乾かした後、再度、頬や額、耳など日焼けしやすい場所を重点的に塗っておきます。普通はそれだけで朝から昼のピークまでは十分持ちこたえるでしょう。さらに夕方まで外に出なくてはいけない仕事などの場合は、会社でもう一度上から塗っておくことをオススメします。女性の場合は、日焼け止めが含まれている化粧下地などで、化粧直しをすればよいでしょう。帽子や日傘などが使えるのであれば、それも活用しましょう。

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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