フード系・自動販売機がコロナ禍で需要を増やしているが、そんななか長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」が、10月18日から「冷凍商品自動販売機」の設置店舗拡大を開始した。コロナ禍に対応すべく、「24時間・非対面・非接触」でお店の味を提供するために導入された施策とみられる。
6月より「リンガーハット堺百舌鳥店」でテスト導入されていたが、これが好評だったため10月18日から関東の5店舗(飯田橋東口店、環八通り志村店、三鷹新川店、千葉祐光店、松戸八柱店)でも導入を開始。今後も導入を進めていき、12月末までには全国25店舗への導入が完了するとのことだ。
当初から話題になっており、「家の近くにできないかな」「はやくこっちに来て…」など、SNSでは熱望する声が溢れていた。そこで今回は実際に購入し、味について忖度なくレビューしていこう。
リンガーハット自販機は店舗の店先に設置されている
まずは販売機が設置されている関東のある店舗に向かう。目的の店舗に着くとすぐに、屋外に設置されている自販機を発見できた。
リンガーハットのコーポレートカラーである黄色が、ボディ全体にあしらわれた自販機は非常にわかりやすく、遠くからでも人目を引くデザインである。店内入口に続く動線に置かれているため、店内での飲食後に買って帰るといったような使い方もされていそうだ。
商品は下記の6種(価格は税込、以下同)。
・リンガーハットの長崎ちゃんぽん/450円
・リンガーハットの長崎皿うどん/450円
・リンガーハットのぎょうざ(12個入)/350円
・リンガーハットのチャーハン/450円
・リンガーハットの野菜たっぷりちゃんぽん/550円
・リンガーハットの国産きくらげ塩ちゃんぽん/600円
看板メニューの長崎ちゃんぽんや皿うどんだけでなく、「ぎょうざ」やチャーハンといった定番どころが並ぶ。ちなみに店内で提供している「長崎ちゃんぽん」が650円なのに対して、自販機で販売している「リンガーハットの長崎ちゃんぽん」は450円。「ぎょうざ」に関しても、店内の「薄皮ぎょうざ」が5個で280円なのに対して、自販機の「リンガーハットのぎょうざ」は12個で350円。もちろん店内のメニューとは量や質に違いがあるのかもしれないが、自販機のほうがリーズナブルなのはかなり嬉しいポイントである。
購入はタッチパネルから行うようになっており、操作はとてもシンプル。ほしい商品の番号を押すと、会計画面に進むことができる。
今回は「ランチセット」として店内メニューにもなっている、「リンガーハットの長崎ちゃんぽん」と、「リンガーハットのぎょうざ(12個入)」を購入。合計で800円だった。自販機のメニューはすべて50円刻みになっているため、お釣りが細かくならないのも意外とありがたい。
自販機から出てきた商品がこちら。店内で販売されている商品同様、ちゃんぽんは野菜と小麦粉は国産、「ぎょうざ」はにんにくを使用していないようだ。
ちゃんぽんを実食、つくり方は鍋に入れて茹でるだけ
自宅に持ち帰り、まずは「ちゃんぽん」から開封していく。袋の中には「冷凍麺」「具材」「スープ」。自家製の「冷凍麺」は中太で、食べ応えのありそうな見た目である。
特筆すべきは、とにかく「具材」の量が多いこと。「具材」だけでなんと132gもあり、手で持つとずっしりとした重みを感じるほどだ。
「具材」には、キャベツ、タマネギ、ニンジン、いんげん、コーン、揚げかまぼこ、豚肉、はんぺん、エビの9種類が入っており、野菜は国産のもののみが使用されている。
つくり方はとても簡単。鍋に300mlの水を入れ、沸騰後に「冷凍麺」「具材」「スープ」を投入する。2分ほど再沸騰させ、麺がほぐれてきたら完成だ。水の使用量が300mlのため、小さめの鍋でもつくることができる。
完成したものがこちら。お馴染みの白濁したスープからは豚骨、魚介の香りが鼻を抜け、間違いなく「リンガーハット」のちゃんぽんだとわかる。9種類の具材は、彩りも良く、冷凍食品にありがちな質素な雰囲気も感じさせない。
スープを一口飲んでみると、豚骨のコクが全身に染み渡る。主張の強すぎない塩味は、エビの旨味をしっかりと活かしてくれている。
次に具材を食べてみる。キャベツは瑞々しく、タマネギはとろとろ。それに対して、コーンはしっかりとした食感を残しており、アクセントを与えてくれている。豚肉は歯応え十分で、噛めば噛むほど口の中に旨味が広がるではないか。エビは3匹ほど入っており、冷凍食品とは思えないほどにぷりぷり。揚げかまぼこはふわふわで柔らかい。
そして麺に箸を進める。中太でストレートな麺は豚骨スープによく絡み、ツルッとした喉ごし。もっちりとした弾力は、ボリューム満点の具材にも負けない存在感を放っている。たっぷりの具材と食べ応えのある麺にもかかわらず、食べていて重く感じないのが、「リンガーハットのちゃんぽん」ならではだろう。
店内で提供している「長崎ちゃんぽん」のクオリティに非常に近づけられており、再現度の高さに驚かされた。
「ぎょうざ」を実食、つくり方はフライパンに並べて焼くだけ
次は「ぎょうざ」をつくっていく。外袋を開けると、プラスチック容器に入れられた「ぎょうざ」と、「ぎょうざだれ」が入っている。
「ぎょうざ」も作り方は簡単で、熱したフライパンに油を敷き、火を止めた後に「ぎょうざ」を並べる。再度火をつけ、水80ccを入れてフタして6分蒸し焼きにする。その後フタを取って水分を飛ばし、焼き目がついてきたら完成だ。
焼き上がりがこちら。滅多に自炊をしない筆者でも、焼き色をつけて美味しそうに仕上げることができた。12個も入っているため、並べると圧巻だ。
食べてみると、心地良い音とともに肉汁が溢れ出す。米粉を使っているという、厚さ0.5mmの皮は、パリッとした食感に仕上がっており、まるでお店の出来立てを食べているような感覚だ。一方で中身はぎっしりと詰まっており、皮の薄さも相まって、肉と野菜の味を強く感じることができる。
驚きなのが、にんにくを使用していないにもかかわらず、かなりパンチの効いた味に仕上がっていること。食後に人と会う用事がある場合でも気兼ねなく食べることができるにんにく不使用で、この食べ応えならば満足感は充分だ。
また、こちらも店内提供の「長崎ちゃんぽん」と同様、店内で食べる「ぎょうざ」にかなり近いクオリティで、再現度が高かった。
「リンガーハット」の「冷凍商品自動販売機」の率直な感想は、味の再現度が高く、コスパも上々で文句なしだった。店内で提供している「長崎ちゃんぽん」には「きくらげ」が入っていたり、店内のテーブルには「ぎょうざ」用の柚子胡椒が置いてあったりと、多少の差異はあるものの、そのぶん自販機のほうが値段がリーズナブルなので欠点にはなっていない。
これだけお得感があるならば、昼食や夕食にヘビロテする方も多いのではないだろうか。設置店舗の近隣に足を運ぶ機会がある方は、ぜひ試してみてほしい。
(取材・文=/A4studio)