「防災散歩」という言葉、聞いたことがありますか? 災害に備え、避難ルートを確認したり、どの道が安全か、危険な場所はどこか、点検しながら歩く散歩です。
「災害別避難所」の確認
ハザードマップを確認して、「避難所」を確認しましょう。災害の種類によって対応する避難所は異なります。
「ここの避難所は地震はOKだけど、台風や水害は河川の浸水の恐れがある場所なので使えない」
「津波であれば、なによりも高台の避難所へ」
というようにです。現在は、新型コロナウイルス感染症対策のため、避難所には定員が設けられています。それでも命に関わる事態では、三密になっても受け入れてくれます。いざという時は「避難所に行く」という選択肢も考えておきましょう。
「防災設備のある公園や広場」を確認
公園や広場は、火災時に延焼防止の機能もあり、一時避難場所にもなります。避難場所に指定された公園には、だいたい「防災設備」が備えられている場合が多いです。いつもは目に入らない設備も、この機会に確認しましょう。
「防災設備」には、「かまどベンチ」「トイレになるベンチ」「マンホールトイレが設置される場所」「給水施設」「防災倉庫」などがあります。非常時には、自治体の担当が組み立てて運用することになっています。
公園や校庭の隅にある「防災倉庫」には、発電機やブルーシートなど、防災に関わる機材が入っています。なお、防災倉庫は自治会などの地域のコミュニティーが管理しているので、非常時に誰でも勝手に開けて使えるわけではありません。
「危険な遊び場」を確認
遊歩道や水遊びのできる親水公園などが併設されている河があります。子どもが遊ぶにはうってつけの場所。しかし大雨により、急な増水で危険な場所になります。晴れていても、上流にある山で大雨が降って、鉄砲水が発生し、遊んでいた子どもが流されるという事故もあります。
同じく「用水路」「側溝」も増水時は危険。冠水すると見えなくなり、足を取られて亡くなった人も多く、子供たちにも危険な場所と知らせておきましょう。
「街の危険」
アンダーパスは道路に交差する部分で、周囲の地面より掘り下げられている道路の部分をいいます。ゲリラ豪雨などの際に、冠水したアンダーパスで立ち往生した車にいたため亡くなった人が多くいます。
ブロック塀は倒壊の危険、木造密集地域は延焼の危険、オフィス街や駅前では窓ガラスや看板の落下の危険があります。大切なことは「ここで、大地震が起きたら?」と想像することです。
「防災無線」「避難所の案内 浸水した記録の看板」「防火用水」「街頭消火器」「消火栓」などにも注目しましょう。
災害時には優先される「公衆電話」
災害が発生したときに通信規制の対象外として優先的に取り扱われるのが、公衆電話です。NTTから直接、電話回線を通じて電力供給を受けているため、その地域が停電していても電話をかけられます。さらに、災害の規模や状況によっては、無料で電話がかけられる仕組みになっています。若い人のなかには公衆電話のかけ方を知らないという人も多いので、この機会に試してみるのもよいでしょう。
ちなみに、警察(110)や消防・救急(119)、海上保安(118)といった緊急通報ならば、いつでも無料で通話可能です。「公衆電話」は少なくなっていますが、どこにあるか確認しておきましょう。
また、コンビニもチェックしてください。店舗のドアの黄色いステッカーを見たことがありますか? これは、地震などの大規模災害によって多くの帰宅困難者が発生した場合に、「水道水」「トイレ」「道路情報」の提供等の支援を行ってくれることを表しています。
「オリジナル防災マップ」をつくろう
感染症対策で防災訓練が中止になるところが多く、避難ルートは各個人に任されてきています。実際歩いて確認するだけで、いざという時とても心強いです。防災散歩から帰宅したら、我が家仕様の「オリジナル防災マップ」をつくってみましょう。
(文=草野かおる/イラストレーター・防災士)