7日午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする推定マグニチュード(M)5.9の地震が発生。東京都足立区、埼玉県川口市と宮代町で震度5強を観測した。東京23区内で震度5強を記録したのは、東日本大震災が発生した2011年3月以来10年半ぶりとなる。
深夜の地震で鉄道の運転見合わせにより多数の帰宅困難者が発生。首都高速道や東名高速道路では通行止めが行われ、水道管の破裂や停電が発生する地域も出るなど、広い範囲でライフラインに影響が出ている。
気象庁は「1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意が必要」と警戒を呼びかけており、引き続き注意が必要な状況が続く。
当サイトは2021年5月26日付記事『低コストで防災グッズの代替品を備える方法…黒いゴミ袋&ペットシーツがトイレ替わり』、2020年2月16日付記事『災害時の非常食、4人家族なら1週間分で84食必要…無理なく備える「日常備蓄」術』で災害時に備えて自宅に用意しておくべき物について解説していたが、改めて再掲載する。
※以下、日付・肩書・数字等は掲載時のまま
――以下、再掲載――
『低コストで防災グッズの代替品を備える方法…黒いゴミ袋&ペットシーツがトイレ替わり』
私たちは日本全国どこにいても、地震の心配からは逃れられません。東日本大震災から10年。多くの人々が、地震に対する恐れ、そして備えの重要性を再確認しているのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、避難所にも定員が設けられました。危険な場所でなければ、今後は避難所に行かない「在宅避難」が中心となります。とはいえ、「防災は気になるけど、お金はかけられない」と思う人は、多いのではないでしょうか。そこで今回は、防災用品の代わりになるモノを紹介します。
「手づくりヘルメット」で頭を守れ
私たちがよく目にするプラスチックの「防災用ヘルメット」は、頭部を守るための厚生労働省が定めた安全基準をクリアしたものです。つい見落としがちですが、防災用ヘルメットにも「使用期限」があり、使用を開始してから、または保管を始めてから6年を経過のものは、交換しなければなりません。
学校には防災ずきん、職場にはヘルメットが常備されていますが、自宅に家族分のヘルメットを用意している家庭は少ないでしょう。そうはいっても、在宅避難が中心となると、ヘルメットがほしいところです。
調理器具であるステンレス製のボウルは、どこの家庭でも1つや2つはあるのではないでしょうか。ステンレスのボウルは100円均一ショップ(100均)にもあり、値段も手頃。頭にタオルを置き、クッション材代わりにして、上からボウルをかぶり、ズレないようにスカーフで固定する。それだけです。ボウルは大きさもさまざまなので、大人も子供もとりあえず安価に用意できます。
もちろん、こちらは安全基準をクリアしているヘルメットとは異なりますので、あくまで、いざという時に活用してみてください。
常に風呂に水をためる
災害時、ライフラインが止まった時、水は必要だということは誰しもわかっています。推奨する量は一人3L×家族の人数×10日分。4人家族であれば、120Lの水が必要になります。1.5Lのペットボトル・6本入りの箱で14ケース分です。ペットボトルを箱買いしている人でも、圧倒的に足りないのが現実です。
大きな地震で断水が発生する場合も、断水になるまで多少の時間があります。もし大きな地震がきたら、水道から水が出るうちは、水をためられるだけためましょう。余裕があれば、風呂を洗って、きれいな水をためておくこと。
水道水は、予め塩素で消毒してあるのでそのままで5日間ぐらいは飲料水として使えます。たとえ残り湯でも、生活用水(トイレの洗浄や洗濯など)に使えるので、流さない習慣をつけておきましょう。
コスト10分の1の非常時トイレ
もし断水になれば、家のトイレは使えなくなります。排便袋として45Lの黒いゴミ袋が代用できます。防災用の携帯トイレは、「排便袋と凝固剤」がセットになったものが中心です。値段はだいたい1セット100円ほどです。単純計算すると、一日5回トイレ×家族の人数×10日分=4人家族で200セット必要となります。
粉末の凝固剤と同じ成分が入っているペットシーツが代わりになります。ペットシーツは、ペットのトイレ用のシートです。100円ショップでもMサイズ10枚入りセットで売っています。Mサイズのペットシーツであれば、400CC近くの尿を吸ってくれます。200CCの尿であれば2回分使えます。
災害時、汚れたトイレを使いたくない女性が、人気のない林などで用を足そうとして暴行被害を受けたケースも存在します。トイレ問題は、人権と健康につながる切実な問題。
在宅避難用にペットシーツと45Lゴミ袋を多めに用意しておくだけでも、小さな安心につながります。
(文=草野かおる/イラストレーター・防災士)
『災害時の非常食、4人家族なら1週間分で84食必要…無理なく備える「日常備蓄」術』
災害が起きたら、避難所で生活?
大規模地震が起きた時、「避難所で食料をもらおう」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、発災直後の避難所では支援が届かないこともあり、食事はなしか、最低限の「乾パンと水」くらいです。
避難所とは、台風などの「切迫した災害の危険から逃れるための避難場所」「自宅が倒壊して住む場所がない人が滞在する施設」という位置づけです。特に大規模な地震が起きた場合は、避難所には収容人数の限界があり、希望する人全員が「避難所には入れない」ということが起こります。そのため、多くの自治体が「倒壊の心配が少ないマンションや家屋の住民は、自宅で避難生活をしてほしい」という方針を打ち出しています。
自宅にとどまり生活する「在宅避難」
在宅避難には避難所にないメリットもあります。プライバシーの確保、集団生活による感染症なども回避できます。ただし、在宅避難に必要な家族の食事は、自分たちで用意しなければなりません。4人家族で1週間となると、4人×3食×7日間=84食が必要となります。非常食というと、最近ではパンの缶詰やアルファ米、発熱装置つきのミリタリー飯など、バラエティに富んでいます。しかし家族分84食、すべて「市販の非常食」で揃えることは、なかなか難しいところです。
食べながら食料を備える「日常備蓄」
家の台所の食料棚に何が入っているか、見てください。そうめんなどの乾麺、米、カップ麺、レトルトカレー、缶詰などが入っているのではないでしょうか。そんな賞味期限が比較的長く、常温で保存できる食材を多めにストックしておくことが、いざという時の非常食になります。もちろん、賞味期限が近い順番で消費するので、無駄なく非常食の準備ができます。これを「日常備蓄」または「ローリングストック」といいます。
大切なことは「いつもの味、好きな味」ということです。ストレスのかかる非常時では、いつもの味が、ほっとできる時間にかえてくれます。また、入手困難になると予想される、アレルギー対策食品、介護食、粉ミルク、液体ミルクなどは、意識して備蓄する必要があります。
日常備蓄する食品例とは……
・水
1人1日3リットル必要とされています。最低4日分を用意するとすれば、4人家族の場合、3リットル×4人×4日分=48リットル、3ケース分(2リットル×9本×3=54リットル)になります。給水車から水を運ぶ工夫も考えておきましょう。
・主食になるもの
お米、スパゲッティ、そうめん、そば、パック餅、シリアルなど。
・おかずになるもの
缶詰、瓶詰め、レトルト食品、パスタソース、ふりかけなど。
・お湯を注いで食べられるもの
カップスープ、カップ麺、インスタントみそ汁など。
・栄養補給になる食品
乾燥わかめ、きな粉、かつお節、切り干し大根、粉末の緑茶、高野豆腐、野菜ジュースなど。
・おやつ
サラミ、さきイカ、チーズ、せんべい、シリアル、羊羹、お菓子、ゼリー、フルーツの缶詰など。
・常温で比較的もつ野菜
芋、かぼちゃ、玉ねぎ、人参など。
・調理に必要なもの
カセットコンロ、予備のガス缶など。
発災時は安全確認の上、まずは冷蔵庫で痛みそうな食材から消費していきましょう。東日本大震災では、被災地への甚大な直接的被害だけでなく、首都圏を中心に広い地域に深刻な物不足が起こりました。スーパーの棚からは、パン、カップ麺、レトルト食品、米、水、肉、野菜、牛乳などの生鮮食品も消えました。何が起こるかわからない時代、1週間は乗り切れるよう、自前で備えることが大切です。
(文=草野かおる/イラストレーター・防災士)