地震国に生まれた私たちは、いつどこで大地震に遭うかわかりません。特に冬場の自然災害は、深刻な二次災害のリスクがあります。近年の巨大地震の代表「阪神・淡路大震災」と「東日本大震災」の発災日はそれぞれ、1995年1月17日、2011年3月11日と寒い時期でした。
地震で起きる生き埋めは、寒さによる凍死につながります。地域によっては、雪の影響で救助活動が困難になってきます。ライフラインが止まったままでの避難生活は、震災関連死の増加につながります。
冬の防災対策
冬の寒さが厳しい地域では、真冬の停電は死活問題。長時間の停電で暖房が使えなければ、室内にいても寒さから生じる低体温症や凍死のリスクもあります。石油ストーブ、ガスストーブでも、温風ヒーターのように電源が必要になると、停電時では使用できません。寒冷地であれば、電源不要で点火できる暖房機器を備えておきましょう。
カセットコンロの活用
「在宅避難」に必須なのが「カセットガスコンロ」です。温かい食事をとれることが一番の魅力ですが、その他、湯たんぽ用のお湯を沸かしたりすることもできます。カセットコンロは使い方にもよりますが、約1時間ほどでガス缶1本を消費するので、その点を考慮して揃えておくといいですね。
4人家族であれば一日4本を目安にガス缶を備蓄しておくと安心でしょう。非常時には、当然ガス缶も品切れ状態になることが予想されます。工夫しながら、ガスを節約する知恵も必要です。
ダンボール、毛布、新聞紙で「簡易保温調理器具」がつくれます。ガスを節約する方法として、覚えておきましょう。
使い捨てカイロを3倍長持ちさせる方法
使い捨てカイロは、空気に触れることによって化学反応を起こして「発熱」する仕組みです。カイロはいったん開封したら使い切りで、1日で文字通り「使い捨て」ですが、裏技で長持ちさせる方法があります。
使ったカイロを密封できる保存袋に入れると、発熱が止まって「休眠」状態になります。そして使いたいときに、保存袋からカイロを取り出して、シャカシャカ振ると再び発熱してくれます。昼間使ったカイロを保存袋に入れ、翌朝シャカシャカ振って発熱させ使用する。使い方にもよりますが、私が試したところ、3日は問題なく使用できました。
余談ですが、使用済みのカイロには「消臭効果」があります。成分の活性炭が、ニオイ成分を吸着してくれるからです。使用済みのカイロを靴の中や下駄箱に入れておくなど、活用してはいかがでしょう。
ガス・電気を使わない調理器具
昭和のドラマなどで見る「七輪」、アウトドア用の缶ストーブ、ロケットストーブなどがあれば「温かい食事」がつくれます。燃料も、廃材や小枝が利用できるのであれば、心強い助っ人です。
また、家にあるものでも、工夫次第で簡単コンロがつくれます。100均のプランタースタンドと、ぴったりサイズの金ザルで、アウトドア用コンロができます。もし炭がなければ、牛乳パックも良い燃料になります。これらを使用する際には換気や火災に十分注意しながら使いましょう。
真冬の防災対策は、心配するとキリがないところもありますが、まずは「ガス缶」「使い捨てカイロ」の多めの備蓄から始めてみてはいかがでしょう。
(文=草野かおる/イラストレーター・防災士)