日頃、体に疲れをためてしまっていたり、不調を感じたりしながらも、そのままやり過ごしているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。しかし、体からのサインを放置していたら、健康はもちろん、仕事のパフォーマンスにも悪影響を与えかねない。
では、そんな悩みを抱える人たちはどうすればいいのだろうか。Amazon人気度ランキングで1位となった『1日5分で全身の疲れと痛みが消える!奇跡の足裏Wストレッチ』(KADOKAWA)著者の大髙茂氏に話を聞いた。
腰痛や肩こりの原因は足の筋肉だった?
東京都内で治療院「オーエスイン」を営む大髙氏は、一般の方をはじめ、芸能人やアスリートの不調を治療するため、日々全国を飛び回っているという。国内だけでなく海外への出張もあり、治療院を留守にすることも珍しくない。その人気ぶりは、2021年2月に『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で取り上げられたことで、拍車がかかったようだ。
「番組が放送されると、ホームページの問い合わせは一気に3000件を超え、予約がまったく取れない状態が続きました。それから約1年経ちましたが、今でも患者さんに待ってもらっている状況です。このままでは不調を訴えていらっしゃる方々に申し訳ないと思い、ご自宅や職場で簡単にできるWストレッチをご紹介し、少しでもみなさんのお役に立てればと願っております」(大髙氏)
足の指から太ももやひざ下、すねの途中までつながっている細い筋肉があり、その筋肉の血行が悪く、不具合があると、腰痛、ひざ痛、肩こり、ストレートネックなど、上半身のさまざまな不調の原因になるという。
「筋肉というのは細い筋線維の束から成り立っていて、筋膜という伸縮性のある薄い膜で包み込まれています。そして、筋膜は隣の筋膜とつながっています。いうなれば、全身タイツを着ているようなもの。足の裏が硬くて伸びなければ、体全部が引っ張られてしまいます」(同)
足の親指につながる筋肉の長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)と、残り4本の指にまとめてつながっている筋肉の長趾伸筋(ちょうししんきん)がある。この筋肉を毎日ストレッチするだけで、腰痛解消の効果が期待できるという。
太ももの裏は「第2の足の裏」
「ゴルフのプレー前にストレッチしている人は多いですが、それだけでは不十分です。筋肉は伸ばしたら縮めないと、効果が期待できません。Wストレッチとは、ただストレッチをするのではなく、筋肉を伸ばしたり縮めたりする動き(アクティブストレッチ)を組み合わせることで、さらに効果を上げる方法です」(同)
ふくらはぎを伸ばしたら、次に縮めることが大切。筋肉を15秒伸ばした後、運動によって、さらに筋肉を伸ばして縮めることを3回行うのが基本だ。
「私は、ももの裏、いわゆるハムストリングを『第2の足の裏』と呼ぶことにしています。お尻は、ちょうどかかとの部分にあたります。オフィスでもリモートワークでも、長時間座って仕事をしていたり運動不足になったりしている人は、とにかくハムストリングを緩める必要があります」(同)
太もも裏の筋肉は、骨盤の中の坐骨というお尻の骨についている。ハムストリングの柔軟性が失われると、くっついている坐骨が引っ張られることになるので、骨盤は後傾しやすくなるという。
さらに、骨盤が後ろに倒れることで背中が丸まり、猫背になってしまう。猫背になると、今度は肩がこる。この場合、原因が肩にあるわけではないため、いくら肩をもんでも肩こりは解消しない。
「コロナ禍で、第2の足の裏である太ももの裏側が硬くなって体に不調をきたしている人は、本当に増えました。しかも、簡単には治すことができない状態にまで悪くなっている人もたくさんいらっしゃいます」(同)
また、ゴルフなど、運動後に行う大事なケアを指摘している。
「私はツアーを戦っているプロゴルファーを治療していますが、腰の痛みがどうしてもとれないときに、足裏の筋肉を緩めることで解消した例がたくさんありました」(同)
運動後に限らず、ビジネスパーソンにとって、毎日足裏の筋肉を緩めておくことがいかに大事かを指摘している。
あのハリウッド俳優にも伝授したWストレッチ
「患者さんによく言いますが、筋肉は使っていないと働かなくなるだけです。だったら、その筋肉が働くように刺激を与えてあげればいいわけです。つまり、眠っている筋肉を呼び起こすことが大切です。痛むところをいくらさわっても、よくなることはほとんどありません。肩、ひざ、腰などに生じる痛みの原因はどこなのか? 筋肉のつながりを理解して、痛みの元となる筋肉を動かし、緩めることが大切なのです」(同)
骨盤の位置を正常に戻すには、背骨、骨盤、太ももをつなぐ腸腰筋(ちょうようきん)のWストレッチが効果的だ。
「これまで、のべ1万人以上の患者さんを診ていくうちに、足に原因がある不調が多いことに気がつきました。長時間のリモートワークや外出自粛などで歩くことが極端に減っている昨今、使わなくなった足の筋肉が硬くなって、体全体に不調をきたしているケースが目立っています」(同)
痛みというのは、自分の体が発している悲鳴。その叫び声を聞いて対応するのが、毎日のストレッチだ。ストレッチを続けていくと、「あれ、ここが硬いぞ。いつも硬くないのに、どうしてかな?」と、自分の体と対話することができる。
痛みや不調といった体からのサインをなかったことにしないで、まずは7日間ストレッチを行い、効果を確かめてみるのがいいという。レオナルド・ディカプリオの治療も行っていた大髙氏が提唱する「Wストレッチ」は、ビジネスパーソンにとって新たな習慣になるかもしれない。
(文=編集部)
『1日5分で全身の疲れと痛みが消える!奇跡の足裏Wストレッチ』 「僕の大作の陰には、必ず大高のサポートがある」。俳優・渡辺謙が全幅の信頼を置く、鍼灸師/スポーツトレーナー・大高茂の、体の痛みや疲れを消すメソッドを初公開。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀」で特集され大反響を呼び、予約の取れないカリスマトレーナーのセルフケアメソッドで、最高の体調を手にしてください。痛みや不調を感じる部分をストレッチするのではなく、痛みのもとになっている部分を、伸ばして縮めるWストレッチで、筋肉の血流を高め、全身の痛みや不調を改善します。著者は、長年培ってきたメソッドで、一般の患者だけではなく、レオナルド・ディカプリオやチャン・ツィイーなどハリウッドスターや一流のスポーツ選手、アーティストに最高のパフォーマンスを導き出してきました。腰痛、肩痛、ひざ痛をはじめ体調不良に悩む万人に向けた福音となる一冊です。