日本における人気ファストフードチェーン店の一角を成す「モスバーガー」。1972年の創業以来、実に50年もの間愛されている同チェーンだが、東京の成増で生まれた生粋の日本発ブランドでもあるのだ。
ファストフード業界において、モスは手間を惜しまぬ姿勢から生み出される“確かな味”で熱狂的なファンを獲得している。2022年7月31日時点で、国内で1254店舗を展開しているのも納得である。
しかし、良品揃いのモスだが、中には賛否両論を呼んでしまっている要注意なメニューもあるようだ。そこで今回は、モスの“要注意商品”を独自にリサーチ。少々首をかしげたくなるメニューを4品選び抜いたので、紹介していこう(価格は税込み)。
きんにくにくバーガー/720円
まず紹介するのは、「きんにくにくバーガー」という商品。インパクト抜群のネーミングだが、こんなメニューが存在していること自体、知らない人も少なくないはず。
それもそのはず、本品は「肉(29)」にちなんで、毎月29日に1日限定で販売されているレアメニューなのだ。しかも、圧倒的な女性人気を誇る新日本プロレスの男前レスラーであるオカダ・カズチカ選手が考案した商品となっており、その独創的な味わいは類を見ないオリジナリティに満ちている。
というのも本品、なんと「ソイパティ」「チキンパティ」「チキンナゲット」という3種が豪勢に盛り込まれており、オカダ選手ばりのムキムキボディを作るのに最適な高タンパク食材が目白押しとなっている。また、モスの人気シリーズ「菜摘」よろしく、バンズの代わりに大量のレタスで肉を包み込んでおり、野菜もたっぷり味わえるのである。
だが、要注意なのはその食材の組み合わせ。本品は形状の違うパティやナゲットをレタスで無理やり包んでいるので、食べ進めるうちにほぼ確実にバラバラになってしまい、非常に食べづらいのだ。もちろん包装紙に包まれてはいるが、それでも口まわりが汚れてしまうことは避けられない。また、味に関してはフレッシュなトマトソースがポイントだが、袋の底に溜まってしまい、味が感じられにくいのも気になった。
にくにくにくバーガー/870円
毎月29日限定で販売されているモスのメニューは、他にもある。それがこの「にくにくにくバーガー」だ。まるで小学生が考案したかのような豪快かつシンプルなネーミングは、一度耳にしたら忘れられない強烈さではないだろうか。
「名は体を表す」とはよく言ったもので、「にくにくにくバーガー」は文字通り、肉と肉で肉を挟んだ衝撃のメニュー。ヘルシーさを求めがちな時代に逆行するかのようなパワフルさに魅了され、毎月29日に本品を買い求める熱心なモスファンも少なくないという。
どういう商品かというと、モスの人気メニュー「モスライスバーガー焼肉」(450円)のライスバンズ部分をパティに変えたものを想像してもらえれば、わかりやすいだろう。そして、おろし玉ねぎとおろしニンニク、しょうがペーストが合わさった食欲そそる牛バラ肉の焼肉は、癖になる味わい。なんと本品はそこに直火焼きのボリューミーなチキンもプラスされており、その食べ応えはモスの中でもトップクラスだ。
しかし、そのパンチの強さが少々あだになっている。というのも、食べていて若干胸焼けしてくるのである。もちろんガッツリ系が好きな若者であればこれくらいペロリと食べられるかもしれないが、人によっては食後に胃もたれしてしまうだろう。また、複数の肉を挟みすぎて味が散漫な印象もあり、自分が何を食べているのかよくわからなくなってしまうのも、賛否が分かれる要因かもしれない。
ダブルとびきりチーズ~北海道産ゴーダチーズ使用~/730円
2009年に登場して以来長らく愛されているモスのシリーズに、厳選食材を豪華に使用した“とびきりシリーズ”がある。今回紹介する「とびきりチーズ~北海道産ゴーダチーズ使用~」も、同シリーズに名を連ねる商品だ。
牛と豚の国産合挽き肉を100%使用したこだわりのハンバーグに、モスオリジナルの北海道産ゴーダチーズとオニオンスライスをたっぷり乗せ、味付けは国産丸大豆醤油を使用したコクと深みのある“和風ソース”でまとめ上げた本品。また、モスには珍しく、シャキシャキ食感のレタスやジューシーなトマトが入っていないスタイルをとっており、こうした部分も特徴的な商品となっている。
だが、本品にはネット上で厳しい意見が寄せられているのもまた事実。寄せられた意見には“700円以上もするのにインパクトが弱い”といった趣旨のものがあった。確かに食材にはこだわっているようだが、食べたときのボリューム感や味のメリハリといった部分で考えると、他のメニューに劣る部分もある気がする。
実際に食べてみると、そうした意見もうなずける。というのも、口に入れてまず感じるのはゴーダチーズのインパクト。あえて臭みのあるその香りがドカンと鼻を抜けていくので、好き嫌いが分かれそうだ。だが、それよりも気になったのが全体のバランス。甘口の和風ソースとチーズとパティのバランスは、最初は食欲を刺激するのだが、野菜不足のせいか食べていてどんどん重くなっていき、味がマンネリ化してくる印象を覚えた。
チキンナゲット(5コ入り)/320円
モスのサイドメニューといえば、サクサクに揚がった「モスチキン」(280円)が有名だが、こちらの「チキンナゲット(5コ入り)」もラインナップされている。
食べてみると、味付けは素朴でほんのりと感じるやさしい塩気が特徴的。また、鶏胸肉の“肉感”があり、しっかりした歯ごたえがあった。
だが、気になったのはそのコストパフォーマンス。5ピースで200円のマクドナルドの「チキンマックナゲット」と比べて1.5倍以上の価格だが、味のレベルは同程度だと感じたからだ。モスのナゲットの味わいはマックよりナチュラルな印象だが、どちらがおいしいと感じるかは好みの違いだろう。
また、マクドナルドはナゲット用のソースが無料で付いてくるのだが、モスではソースが別売り。「マスタードソース」「バーベキューソース」があり、どちらも30円もかかるのである。ソースも付いて200円のマックと、ソースを付けると350円になってしまうモスでは、残念ながらモスのナゲットはコスパが悪いと感じるのは致し方ないのではないだろうか。
――味の良さを追求しつつ、インパクトのあるメニュー開発にも余念がないモス。そのチャレンジ精神はほとんどの場合は好意的に受け止められているが、中にはハマらない人も生んでしまっているようだ。だが、人の好みはそれぞれなので、興味を持った方は、ぜひご自分でその味を確かめてみてほしい。
※情報は2022年9月20日現在のものです。