唐揚げ、ハンバーグ、生姜焼き、とんかつなどなど、バラエティに富んだ弁当が数多く並べられているコンビニ。種類がありすぎて目移りしそうになるが、なかでも定番商品である「のり弁当」は捨てがたい。
ごはんの上にのりを敷き、白身魚フライ、ちくわ磯辺揚げ、コロッケなどの揚げ物が乗せられたビジュアルに目を惹かれ、ついつい購入してしまう方も少なくないだろう。
そんなのり弁当だが、コンビニごとに価格やその内容も異なっているのだ。そこで今回は、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンから発売されているのり弁当を比較し、どのコンビニの商品が美味しくコスパが高いか、忖度なしにレビューしていきたい。
記事の最後に総評として、もっとも優れているのり弁当を決めたので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
セブン-イレブン「海苔弁当」/464円
はじめに紹介するのが、セブンの発売する「海苔弁当」だ。
ごはんとのりの間には、おかかが敷き詰められており、その上には白身魚フライ、ちくわ磯辺揚げ、コロッケとオーソドックスな具材がラインナップ。至ってシンプルな見た目をしているものの、白身フライにはタルタルソースがかけられていたり、コロッケにはスパイシーなソースが付けられていたりと、随所にこだわりが見られる。
それでは実食していこう。まず磯辺揚げは衣がモチモチとした食感であり、青のりの磯感のある風味が存分に味わえて美味。そこそこボリュームもあるので、食べ応えも十分。またコロッケは、甘く酸味の効いたソースにホクホクのジャガイモが合わさっていたので、相性抜群でごはんのおかずにぴったり。のりとおかかもしっとりとした質感、かつ出汁の効いた味わいだったので、コンビニの商品とは思えない上品さを感じた。
ただひとつ残念だったのは、白身魚フライの出来だ。まず衣が厚すぎであり、また水分を吸収していたことから、湿った食感になってしまっていた。次に肝心の身の部分だが、コラーゲンの塊かと思われるほどブヨブヨな部分があり、白身魚フライのフワフワ感は皆無。若干の魚臭さも覚えてしまい、さほど美味しいとは思えなかった。
総評としては、及第点に至る要素が多かったものの、のり弁の顔ともいえる白身魚フライがイマイチだったので、価格以上のクオリティはないと結論付けたい。
ファミリーマート「明太海苔弁当」/480円
次はファミマの「明太海苔弁当」のレビューをしていこう。
こちらは白身魚フライ、ちくわ磯辺揚げ、コロッケに加え、玉子焼、明太子、きんぴらごぼうがラインナップ。見た目的には、一般的なのり弁に比べ具材が賑やかになっているように見え、より高い満足度の弁当を味わえそうだ。
実食してみると、白身魚フライは衣がサクサクとしており、身もきっちりとしまっていたことからジューシーな印象。コロッケもじゃがいもの柔らかい食感と肉のうまみが強調されており、食べやすい仕上がりとなっていた。玉子焼には甘めの出汁が入っており、丁寧に火入れされていたのか、かなりしっとりとした食感。のりもしっとりとしており、甘めの味付けなのでいくらでもいけそうな味わいだった。
しかし、難点も少なからず存在する。ちくわ磯辺揚げは身の部分が見た目よりも小さく、食感も練り物感が強いもので魚の風味は感じられない。そして、ごはんも一粒一粒ほぐれる仕上がりではなく、何十粒かまとまってねちょねちょしたものであり、艶のある米の食感は味わえなかった。
そして何より、疑問に思ったのが明太子だ。本品の明太子は、魚卵の食感がはっきりと味わえるものではなく、どちらかといえばペースト状で、明太子を食べている感覚にはならなかった。味付けもただしょっぱいだけであり、ごはんのおかずになるかというと微妙。コストの問題を考えると、明太子を抜くだけで価格も抑えられると思うので、なおさらなくても良かったのでは……と感じる次第であった。
美味しかった具材もあったものの、改良してほしい、なくすかどうか検討してほしい具材もあったので、今後の改善がなければリピートはしないと思う出来であった。
ローソン「これがのり弁当」/549円
最後はローソン発売の「これがのり弁当」を紹介。
ローソンののり弁は、ちくわ磯辺揚げ、白身魚フライ、コロッケという王道のラインアップに唐揚げがプラス。またタルタルソースと醤油が別添えで付けられているほか、価格もほか2社よりも高く、温め時間も1分ほど多いことから、やや異なる方向性を感じる弁当だ。
食べてみると、白身魚フライは身の肉質がしっとりとしており、歯切れの良い食感。ちくわ磯辺揚げも3社のなかで一番大きく、ちくわ自体もモチモチとしていた。のりの上に鎮座している明太子も粒が大きく、魚卵の風味も存分に感じられたので、クオリティは高い。ごはんとのりの組み合わせも最高であり、鼻を抜ける磯の香りが非常に心地良かった。ただ全体的に味は薄めだったので、醤油で味付けは必要そうである。
全体的に美味しさはトップクラスだったのだが、いくつか惜しいと思う点もあった。なかでも、唐揚げは肉が固く、味付けも塩気が強い仕上がりであり、好き嫌いが分かれそうだ。また、玉子焼も味が全然しなかったので、醤油を付けるのは必須だろう。
とはいえ、個々の具材のレベルは平均点以上だったので、美味しいのり弁を食べたいときには安心しておすすめできる、というのが正直な感想だ。
優勝は……ローソン!
それではこれまでのレビューを踏まえ、優勝のコンビニを発表していきたい。
まずごはんとのりに関しては、各社ともあまり変わりはなかったものの、セブンとローソンは粒がほぐれ、かつ艶があった炊き具合だった。のりは各社とも味に違いはなく、磯の香りが十分に感じられたので、ハズレはないという印象だ。
次に具材だが、白身魚フライ、ちくわ磯辺揚げは、断然ローソンに軍配が上がる。魚の臭みがなく、もっちりと食べ応えがある白身魚フライは、ごはんと一緒に頬張りたくなる美味しさ。ちくわ磯辺揚げもボリューミーで、噛むごとに魚の旨味が味わえるものであり、最も食べ応えがあると言える。唯一コロッケに関しては、セブンのものがソースの味わいが絶品で、コロッケ自体もじゃがいものホクホク感が存分に味わえる高いクオリティを発揮していたと思う。またファミマとローソンに入っていた明太子については、ローソンのほうが魚卵感もあり、プチプチの粒も味わえたので、そちらを推したい。
以上の総括から、今回はローソンののり弁が最も美味しいものだったと結論付けたい。ローソンは、3社のなかで価格が一番高いものの、総合的に見てクオリティがほか2社に比べて高かったので、コストパフォーマンスも高いと考えていいだろう。
もちろん、人によって好みはそれぞれなので、違う感想を抱く人もいるだろう。気になった方はぜひご自身で3社ののり弁を食べ比べてみてほしい。
(取材・文=文月/A4studio:外部執筆者)
※情報はすべて1月31日時点のものです。