IoTの活用によって私たちの生活は大きく変わりつつある。とりわけ、分かりやすいのが生きる上でのベースとなる住空間の変化だ。
「スマートハウス」という言葉を聞いたことがあるだろう。電気の見える化、効率利用によって、節電や環境負荷の低減を目指す住宅のことだ。しかし、今や住まいのスマート化はそれだけにとどまらない。これからの時代のスタンダードは「スマートホーム」だ。
『鍵のいらない生活 スマートホームの教科書』(小白悟著、クロスメディア・パブリッシング刊)は、そのタイトルの通り「スマートホーム」とは一体何かを分かりやすく解説した一冊。そして、スマートホーム化によってどのように生活が変わるのか、どんな未来が私たちを待っているのかが書きつづられている。
では、スマートホーム化によって私たちの生活はどう便利になるのか。本書をのぞいてみよう。
そもそも「スマートホーム」とは一体何なのか?
本書で定義されている「スマートホーム」は次のようになる。
IoTやAIなどのテクノロジーを駆使して、便利で快適、そして安心・安全な暮らしを実現する住宅。もう少し砕いて言うと、さまざまな家電、設備をインターネットでつなぎ、人工知能などの先進技術で私たちの暮らしをサポートしてくれる住宅(p.18-19より引用)
つまり、「IoT×ネットワーク×住宅」の掛け合わせが「スマートホーム」だと言える。「スマートハウス」が省エネ対策に特化した住宅と考えれば、この「スマートホーム」はより生活に根差したレベルでIoTやAIを活用し、暮らしを便利にする住宅となる。
では、具体的に住まいをスマートホーム化することによってどんなことが起こるのか。
玄関をスマートロックにすることで、鍵の紛失リスクから解放
外出するときに、外から帰ってきたときに「鍵がない!」と焦った経験がある人は少なくないだろう。最先端の「スマートロック」ならそういったことも起こらなくなる。スマートフォンのアプリやテンキーによる暗証番号、指紋認証、顔認証などで施錠・解錠ができるようになり、鍵にまつわるトラブルがなくなるのだ。
また、インターネットと接続することで、ちゃんと施錠されているかが遠くにいても把握できるようになる。これによって、心配になって一旦帰宅するということもなくなり、心理的負担の軽減につながる。ほかにも宅配の受け取りや訪問者の確認なども遠隔で行うことが可能となる。
自動で開閉するカーテンで睡眠の質を改善
スマートホーム化のメリットの一つが、より効率の良い健康管理が可能になるということだ。
例えばエアコンの赤外線リモコンをスマートリモコンに登録することで、スマートフォンのアプリからエアコンを操作できるようになる。離れた場所から健康管理ができるということもあり、高齢の両親を持つ人に興味を持たれるという。
また、セットした時間に自動で開閉するスマートカーテンを使って睡眠をコントロールするということもできる。朝、決まった時間にカーテンが開くように設定することで、朝日を浴びながら気持ちよく目覚められ、生体リズムの調整にも役立つという。
時短・節約もスマートホーム化で手にできる
テレビやエアコン、照明やお風呂など一つ一つにリモコンやスイッチがあり、それを探して押していくだけでもそれなりに時間がかかる。それが今までは当たり前のことだったが、スマートホーム化はそうしたコストを削減してくれる。
また、ロボット掃除機は出かけている間に掃除を終わらせてくれる。さらに、冷蔵庫をインターネットと接続し、アプリと連携することで常時、中に入っているものを確認することができ、買い忘れや買い過ぎを防ぐことができる。時短や節約にもスマートホームは一役買うのだ。
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この他にも防犯・セキュリティ面での効果や、離れて暮らす家族とのコミュニケーション、リモートワークなどにも効果を発揮するのがスマートホームだ。
本書には実際に導入するにはどうすればいいのか、自分でスマートホーム環境を導入するときに気を付けるべきポイントなども書かれており、住まいをより便利にしたいと考えているスマートホーム初心者にとって参考になるはず。
スマートホームの例を読みながら、自分の住まいのこれからについて考えてみるのもいいかもしれない。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。