女性誌でのセックス特集、セックス関連本が相変わらず人気の昨今だが、これまではあまり見えてこなかった、女性の「性」の闇を浮き彫りにした新書がある。
『モンスターウーマン 「性」に翻弄される女たち』(大場真代/著、宝島社/刊)だ。
本書では、性に翻弄される数々の女性の姿が取り上げられている。
第4章の「性器整形にハマる女たち」に登場する29歳の女性。彼女は「性器の漂白」にとらわれてしまった一人だ。
沖縄生まれらしいハッキリとした顔立ちで、スタイルも決して悪くはないが、地黒な肌が悩みだった。
彼女が高校生のとき、好きになった人から健康的な小麦色の肌がチャームポイントだといわれる。「それでずいぶんと救われました」(p169より)…しかし、彼が付き合ったのは、色白で華奢な女の子だったという。
「結局白くてかよわいほうがいいんだと、大ショックでした」(p169より)。
それ以来、顔や体の美白・ホワイトニングを試すようになる。劇的な変化はないが、それでも「白くなるために努力している」ことで多少の気はまぎれたという。
そのうち、美白対象は性器にまで及んでいく。
最初は顔やボディ用の美白クリームを塗りこんだり、専用と謳うあやしい美白クリームなどを試したりしていたが、それは病的にエスカレートしていく。
「漂白できそうなありとあらゆる薬品を試しました」(p170より)
そんな彼女は、彼氏とセックスをするときには、性器にウォータープルーフのファンデーション(性器用で顔の色と違うもの)を塗って挑むという。
「美白が無理ならいっそのこと化粧をしよう、と」(p171より)
しかし、それでも気になってしまい、心の底からセックスを楽しめていない、と告白する。
性器にコンプレックスを持つ女性は多いと言うが、彼女の場合はそれが「地黒である」というコンプレックスと結びつき、病的なまで「漂白」にこだわるようになってしまったのだろう。
この女性は極端な例かもしれないが、程度の差はあれ、だれしも性の「闇」を抱えている。
本書では、ほかにも、「20代で経験人数100人を超える女」「処女を死守しながら風俗で働く女」「現地夫を持つキャリアウーマン」「『美容のために』セックスする女」「夫からの一言で感じなくなってしまった女」など、さまざまな女性の闇を取り上げている。
ただただ、凄みのある一冊だ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。