電子マネーの拡大に加えMVNO事業にも参入
2つ目のポイントは、LINEの電子マネーサービス「LINE Pay」を拡充し、新たにJCBの基盤を用いたプリペイドカード「LINE Pay カード」を提供したことだ。このカードを使えば、LINE Payによる決済がJCB加盟店でできるようになるため、決済できる店舗が少ないというLINE Payの弱点を一気に解消することとなる。
しかもLINE Pay カードはキャリアの契約に紐づかないことから、キャリアの契約を乗り換えても利用できるし、プリペイド方式であるためクレジットカードの取得が難しい未成年などでも利用しやすい。先のオープン化と組み合わせれば、オンラインからオフラインまで、あらゆる決済をLINEのなかに取り込むことができるだけに、やはり大きな意味を持つといえよう。
そしてもうひとつ、大きなポイントとなるのは「LINE モバイル」だ。これは、LINEがMVNOとなって提供する、スマートフォン向けのモバイル通信サービス。月額500円から利用できるのに加え、チャットや画像・動画のやり取り、さらには無料通話など、LINE上でのコミュニケーションが無料で利用できることが、大きな特徴となっている。
サービスの開始が今年の夏からとなるため詳細は不明な点も多いが、LINE上でのコミュニケーションに関連する通信コストがかからないという点は、非常に多くの注目を集めている。より詳しいサービス内容の発表が待たれるところだ。
今回の一連の発表を見ると、国内において、サービスから決済、そして通信に至るまで、スマートフォンに関連する多くの要素を、LINEのなかに取り込みたい狙いがあるように見える。日本ではLINEが最も普及したメッセンジャーアプリとなっていることから、そのコミュニケーションが持つ利用率の高さを生かしつつ、さらにオープン化によってプラットフォーム自体を拡大することにより、国内での影響力を高め売上拡大につなげたいというのが、LINEの新戦略の狙いといえそうだ。
思うように利用を伸ばせていない海外市場
だが、国内での支配を進めるLINEの新たな施策からは、逆に海外でシェアを伸ばせていない現実も浮かび上がってくる。LINEは日本のほか台湾とタイでトップのシェアを獲得し、インドネシアでも高いシェアを獲得している。だが一方で、当初利用者が伸びたといわれていたスペイン語圏に関する施策は減少しているし、市場開拓を狙った北米でも存在感を示すことができていない。