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実際、今回のイベントでCEO(最高経営責任者)である出澤剛氏が「現在はアジアに集中している」と話すなど、以前と比べトーンダウンしている様子がうかがえる。昨年末時点では2億1500万のMAU(月間アクティブユーザー数)を獲得したとはいえ、アジア圏以外での利用を思うように伸ばせていないことを印象付けている。
一方、それらの市場で存在感を高めているのがフェイスブックだ。北米ではFacebook Messenger、欧州などでは傘下のWhatsApp Messengerが利用者数を拡大しており、WhatsApp Messangerは今年の2月に、MAUが10億に達している。そうしたフェイスブック勢の勢いに押される形で、特に欧州や南米においては、かつてLINEが築いた足場が崩されていると見ることができそうだ。
フェイスブック勢の躍進に加え、テンセントの「WeChat」が圧倒的な人気を誇る中国市場も、LINEの利用が実質的にできなくなったことで攻略が難しくなっている。それだけにLINEは、現在高いシェアを獲得できている国に集中し、プラットフォーム展開による収益優先の戦略をとるに至ったといえそうだ。
だが、LINEも海外展開を諦めているわけではない。現在狙いを定めている東南アジアはスマートフォンの利用が急速に伸びている市場であるため、アプリの利用がある程度固まってしまった先進国と比べれば、利用拡大に向けたチャンスは大きいだろう。また東南アジアで大きな存在感を持つことができれば、南アジアや、現在利用が伸びているという中東などに勢力を拡大できる可能性も高まってくる。
そのためには、現在LINEが重点市場と位置付けており、なおかつ人口が多いインドネシアで、トップシェアの座を確固たるものにすることが重要な意味を持つといえそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
LINEは東南アジアで最も人口が多いインドネシアに注力しており、急速に利用を伸ばしていることから、インドネシア市場攻略の成否が今後を大きく左右する可能性が高い
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