ソニーが11月12日、満を持して発売する家庭用ゲーム機プレイステーション5(PS5)。その販売予約をめぐり、インターネット通販大手Amazon.com(以下、アマゾン)のマーケットプレイスで不当な手法で高値転売する業者、いわゆる“転売ヤー”が多発しているとして、インターネット上で物議を醸している。
予約販売価格、35万~50万円?
アマゾンは9月18日、PS5の予約販売を開始した。予約は、先着順。Ultra HD Blu-rayディスクドライブを備えたPS5通常モデルが5万4978円(税込)。「Digital Edition」が4万3978円(税込)だ。そのタイミングを見計らったかのように、早くも高値転売をはかろうとする業者の存在が、以下のようにTwitter上で指摘されている。
amazonのマケプレでPS5予約したんだけど、よく見たら35万で草生えた。注文履歴からはキャンセル不可になってたが、カスタマーサービスのチャットで「間違えたのでキャンセルして欲しい」て伝えたら秒で対応してくれた。みんなはちゃんと確認して、悪徳業者に気をつけるんだぞ。 pic.twitter.com/HLwaSnnmD2
— よこやま (@YOKO_vermillion) September 18, 2020
当サイトでもアマゾンのマーケットプレイスを確認したところ、アマゾン予約特典のオリジナルデザインエコバックが付属する商品を49万8000円で予約販売している業者も確認された(写真)。
そのほか、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、価格が高騰していた医療用マスクや消毒用アルコールなどを販売していた事業者なども参入していて、いずれも30~35万円ほどの価格帯で予約を請け負っていた。
ソニーは転売防止対策を強化するとしているが…
新型ゲーム機の高額転売は、任天堂のニンテンドースイッチでも社会問題化している。PS5の発売に際して、ソニーは何らかの対策を取っているのだろうか。ゲームメディア「ファミ通.COM」が17日に配信した記事『PS4の互換性率は99%! 転売対策もアリ? SIE社長 ジム・ライアン氏にプレイステーション5についてインタビュー』で、ソニー・インタラクティブエンタテインメント会長のジム・ライアン会長は次のように述べていた。以下、引用する。
「私たちが目指すのは、小売店の皆さんと協力して、できる限りひとり一台、PS5を買っていただくことです。ですので、おひとり様1台まで、ということになるでしょう。ただ、たとえば1台購入してから、もう一度お店に行って列に並び、またもう1台買う、というのは止める方法が難しく、もしかしたら止めることはできないかもしれません。ただ、たとえばひとりで何十台も購入する、という行為はできる限り止めていきたいです」
確かにメーカー直販となる、ソニーストアでは2回に分けて抽選販売を実施し、特定の個人が買い占めを行うことを防止する措置をとるようだ。抽選販売に参加するために必要な「PlayStation 5商品販売情報メール登録」の受付を23日午前11時から開始。「9月17日までにソニーストアでMy Sony IDを利用した購入歴のあるユーザー」を対象に10月中旬応募受付を開始し、抽選の上、当選者には11月の発売日に送付する予定だ。第2回抽選は「ソニーストアでの購入履歴がない、もしくは第1弾で落選したユーザー」対象で11月中旬に受付開始する。
ゲームメーカー関係者は次のように話す。
「ソニーの抽選販売は正直、相当な狭き門です。11月13日の発売初日に手に入れるためには、ソニーのヘビーユーザーでかつ、相当強運でなければ当選は難しいでしょう。となると、一般のユーザーは他の小売店で手に入れるしかありませんが、Amazonの例を見てわかる通り絶対に買い占め業者は湧いてくるので、間違いなく品薄状態になるでしょう。
ソニーを含めたメーカーは今世紀に入って以降、ハードの在庫がかさむ事態を全力で回避しています。過去、セガなど発売したセガ・サターンなどの失敗があるためです。ユーザーの需要を見越しながら徐々に生産量を増やしていくので、どうしても発売当初は品薄になり、買い占め業者や転売ヤーのターゲットになり、より品薄になるという悪循環が起きています」
転売ヤーの存在は、新型コロナのマスク高額転売で話題になったばかりだ。社会全体としての防止策の構築が求められ始めているのではないか。