――慣れたレビュアーは文章もうまいですね。以前、中国人のレビュアーが中国語で書いた文章が直訳されたような変なレビューが多く見られるようになり、話題になりました。業者との癒着がない公平なレビューを見抜くのは難しそうです。
三上 それでも見抜く方法はあります。あまり人気があるとは思えない商品なのに、星が5つのレビューがたくさん並んでいる場合は疑うべきです。発売直後に星5つのレビューが多くあるのも、おかしいです。また、日本人の実名が書かれたレビューのなかには、中国系の業者からの依頼によるものが多いといわれています。「日本人の実名でのレビューは信用が高い」という噂があるため、中国系の業者が日本人の実名でやらせレビューをしているようです。しかし、日本人が実名でしかも自分の写真まで掲載することは、ほとんどないでしょう。
いろんなジャンルの商品を数多くレビューし、すべて星5つと評価しているレビュアーも信用できません。まず、そのレビュアーの過去のレビューをチェックすべきです。私がアマゾンでモバイルバッテリーやライトニングケーブルを購入するときに、明らかにやらせだとわかる嘘くさいレビューを見て、その商品を買わないと決めました。「やらせレビュー」で販促する業者は一切信用できません。
アマゾン・レビューは販売促進の生命線
――ステマレビューの手法がますます巧妙になっているともいわれています。
三上 実は、業者がレビューを依頼する商品は、それほど高額な商品ではありません。価格帯は5,000円~1万円くらいで、スマホケース、バッテリーなどの日用品・消耗品が対象になっています。中国の商品を日本に輸入する業者が、ステマを行う例が多いようです。中国からの輸入製品や輸入代理店が多いため、競争が激しく、結果として中国系商品のレビューが増えるのです。
――個人ブログでの商品レビューは、いかがですか。
三上 アマゾンの商品を紹介してアフィリエイトで稼ぐブログは、基本的に売れればお金になる仕組みですから、プラスの評価をすることが多いですね。中立公正な評価は期待できません。いかにクリックさせて買わせるか、誘導するための評価です。レビューでもアフィリエイトは売るための販促であり、評価ではありません。もちろん良心的なブログもありますが、ごく少数です。
――そもそも、なぜアマゾンでの「やらせレビュー」は多いのでしょうか。
三上 「安い商品はアマゾンで購入する」という消費行動が、ますます広がっており、業者側にとってアマゾンのレビューは販売促進の生命線です。以前では新聞、雑誌、テレビに広告を打って広く宣伝していましたが、販促が重視されており、結果として「やらせレビュー」があふれる事態が起きているのです。
“やらせレビュー汚染”が進行するほど、アマゾンの信用度は落ちることになります。ですから、アマゾンがレビューの品質を担保するくらいの抜本的な対策が肝要です。
――ありがとうございました。
(構成=長井雄一朗/ライター)