1996年に「ファイナルファンタジーVII」(97年発売)、97年には「ドラゴンクエストVII」(2000年発売)がプレステからリリースされると発表されたが、それらの発表はゲーマーたちに家庭用ゲーム機の覇権が任天堂からソニーに移ったのだと、知らしめるには充分だった。
DVDプレイヤー機能を搭載したことでメガヒットとなったプレステ2
お次はプレステの後継機として2000年3月4日に発売したプレステ2。世界累計1億5000万台を突破し、当時「世界一売れたゲーム機」のギネス記録を樹立したほどのメガヒットハードである。“人の感情に強く訴えかける表現”を目指した同機は、キャラクターの動き・表情、半透明処理といったリアルな映像表現を可能とし、またDVD-ROMを採用して、DVDプレイヤーとしての機能を備えていたことも大きな話題に。
「当然、プレステからスペックは進化していますが、プレステ2は“3D→3D”であったため、2D→3Dだったプレステの質的変化ほどの衝撃は感じませんでした。やはり記録的ヒットとなった理由は、当時まだ高価だったDVDプレイヤー機能付きで約4万円という価格を実現したことでしょう。例えば、ゲーム機であの『マトリックス』(映画)のDVDも観られる! といった付加価値はかなりの衝撃でした。先代のプレステから人気シリーズも継承し、見事に覇権の継承に成功したハードと言えます」(同)
プレステ3は失敗…ではなく、後継機への名リリーフでつないだハード
だが、続くプレステ3でつまづくこととなる。
2006年11月11日に発売されたプレステ3は、ハイパワーなマルチコアプロセッサとGPUにより、グラフィック性能をプレステ2から格段に向上させ、Blu-rayディスクを採用。だが、世界累計8000万台突破という記録は立派だが、やはり先代の1億5000万台突破という数字と比べるとどうしても見劣りする。
「安価モデルでさえ5万円を超えるゲーム機が売れた前例がありませんでしたから、プレステ3に対しては発売前から、ダメだろうという気はしていました。予想どおり、序盤でつまづいてしまいましたね。今思えば、ソニーがプロセッサで天下を取りたいという欲が強く出すぎたハードだったのでしょう。
しかし、プレステ3を“失敗”とは思いません。大失敗しかけたがリカバーに成功したハード、といったところでしょうか。任天堂の超大ヒットした家庭用ゲーム機『Wii』と時期がかち合ってしまったという不運もありましたが、コストダウンにより値下げした新型モデルでよく凌いだという印象。その一方、世界のゲーム市場の潮流であった“グラフィックのHD化”を満たしていたおかげで、海外ゲームパブリッシャーに見放されず、うまく後継のプレステ4につなげた名リリーフだったと思います」(同)