●美しくなったディスプレイ
ディスプレイは解像度が上がり、1280×800ドットからフルHD解像度(1920×1200ドット)になった。単純に解像度が上がっただけでなく、発色が良くなったので、表現力は旧モデルから大きく進化している。最近では、5インチサイズのスマホでもフルHD解像度なので、7インチタブレットのNexus 7としてはこの程度に解像度を上げないと市場価値がないというところで、妥当な進化だろう。ちなみに、iPad miniのディスプレイは1024×768ドットだ。
●新機能への対応
新Nexus 7は、ワイヤレス充電規格Qiに対応したことで、Qi充電パッドを持っていれば、いちいちケーブルに接続しなくても充電できるようになった。このQiはNexusスマートフォンの「Nexus 4」も対応しているので、今後のNexusでは標準的に搭載される機能になるのかも知れない。
なお、ワイヤレス通信規格のNFCに対応し、Androidビーム機能によりワイヤレスでデータを転送できるようになった。ケーブルなどを持っていなくても、モバイル通信環境などが悪くても、手早く2台のAndroid間で画像などの転送ができるようになったのは便利だ。
また、近距離通信技術のBluetoothも、3.0対応から4.0対応へと進化した。4.0はスマートウオッチなどの最新デバイスがよく対応している規格で、低消費電力で通信ができるのが特徴だ。
●CPUとOS
CPUはnVIDIAのtegra 3からクアルコムのSnapdragon S4へと変わった。これによって、発熱が減り、処理速度は向上している。しかし、現時点ではSnapdragonは600/800シリーズがリリースされており、決して最新最速というわけではない。OSは4.3だが、旧Nexusも4.3へのアップデートが提供されているので、この面は新Nexus 7だけのアドバンテージでもない。
●最強ではないが、リーズナブルな価格の新Nexus 7
新Nexus 7は解像度アップ、処理速度の向上から、細かい新機能の搭載まで、確かに世代が異なるほどの進化をしている。最近のSnapdragon800を搭載する6~7インチ級の最速レベルのスマホやタブレットと比較すると、そのCPUは1世代前のものだが、このあたりは実用性能をクリアすればいいという考えなのだろう。
新Nexus 7のパフォーマンスは実際、最速というにはほど遠い。しかし、QiやBluetooth4.0、フルHDディスプレイなど現在、必要とされるレベルの機能を搭載し、より現代的なハードウェアにはなった。
Google Play Storeにおける販売価格は、16GBモデル(Wi-Fi)が2万7800円で、旧モデルの1万9800円よりは高いが、最先端のCPUを搭載したモデルと比較すれば安い。例えば、Xperia Z Ultraなどは、安い店でもSIMフリーモデルが6万円台だ。新Nexus 7にはWi-FiだけでなくSIMフリーのLTE通信に対応するモデルもあるが、これでも約4万円だ。
新Nexus 7は、現時点の最強パフォーマンスなモデルではないが、実用的な機能でリーズナブルな価格のため、前モデル同様、セールス的にはキングになる可能性を持っているといえるだろう。
(文=一条真人/フリーライター)