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鍵が不要の生活、移動するリビング…スマートホーム「25万円」の費用対効果

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『鍵のいらない生活 スマートホームの教科書』著者・小白悟氏
『鍵のいらない生活 スマートホームの教科書』著者・小白悟氏

 2020年に始まったコロナ禍以後、私たちの生活様式は大きく変化した。

 コロナ禍当初は外出を控え、自宅で過ごすことを求められた。また、リモートワークが普及し、それに合わせて住宅内の住環境や通信環境などの整備を行ったという人も少なくないだろう。

 そんな中で今、注目を集めるのが「スマートホーム」だ。

 キー(鍵)レスを実現するスマートキーや、AIを搭載したスマートスピーカーなどが代表的な例だが、それ以外にも様々なものがあり、私たちの生活を快適に、便利にしてくれる。

 ただし、興味があってもどのように導入したらいいのか分からないという人もいるだろう。

 『鍵のいらない生活 スマートホームの教科書』(クロスメディア・パブリッシング刊)はそんな疑問に答えてくれるスマートホームの入門書だ。

 著者・小白悟氏へのインタビュー後編では、自分でスマートホーム化に取り組む際の注意点やテクノロジーの進化でこれから生活がどう変わるのかについてお話をうかがった。

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。インタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)。

テクノロジーの進化で私たちの生活はどう変わっていく?

――住宅のスマートホーム化のメリットについてお聞きしましたが、まだハードルが高い部分があるとしたら、どのような点になりますか?

小白:やはり通信環境ですね。通信環境が整っていない住宅のスマートホーム化はとても難しくて、かなりコストがかかってしまうんです。そこが一つのハードルになっているように思います。

 また、スマートホームを導入するにあたって、誰にノウハウを聞いたらいいのか分からないという方もいらっしゃいますし、導入したあとの保守をどうすればいいのか悩んでいるという声も聞いています。

――そういった声に対してはどのように対応されているのですか?

小白:弊社では「IoTele」というスマートホーム化のトータルプロデュースの一環でスマートホーム統合アプリを開発しました。すべてのスマート家電をそのアプリ一つで管理、操作できるようにしています。また、IoTの導入支援も行っていて、インターネット回線の開通から保守までワンストップで対応しています。

――実際に住居のスマートホーム化を進めるとなると、どの程度の費用を想定すればいいのでしょうか。

小白:これは弊社の事業での基準となりますが、一部屋あたりだいたい25万円程度になります。スマートキーやスマートセンサーを導入しながら、その額の中で対応できるスマートホームの内容を勧めさせていただいています。

 また、部屋数が多くなるとその分プラスでかかりますが、新築の賃貸住宅であればWi-Fi環境が整備されていれば、そのくらいの費用できると思いますので、費用対効果にも良いと考えています。

 また、例えばAmazon Alexaと連携させたり、ボタンを1個押すと全部電気が消えるようにしたいというようなニーズにも一通り対応できます。

――IoTの活用には機器の故障リスクがありますが、その点についてはいかがでしょうか。

小白:おっしゃる通り、機械ですので故障リスクは避けられません。ただ、その点に関しては信頼できる会社に保守を依頼したり、契約の段階で確認することが大事だろうと思います。

 また、スマートホーム化をDIYで取り組んでいる方もいらっしゃると思いますが、ECサイトで安価な機器を購入したりすると、保証がついていなかったり、サポートが十分でなかったりすることもあるので、注意が必要ですね。

 特に電気用品の場合、PSEの取得を示すシールなどが貼ってあるはずです。PSEマークはACアダプターなどの「特定電気用品」を示すひし形と、それ以外の電気用品につけられる丸型の2つのマークがあり、取得は義務となっています。ただ、大手のECサイトであってもPSEマークがない製品が流通していることがあります。

 PSEマークがない製品が流通していると、輸入・販売した事業者には罰金が課され、製品は全回収となります。つまり、購入された方も影響を受けることになります。

――DIYスマートホームの注意点は本書でも書かれていますが、気を付けるべきポイントがあるわけですね。

小白:そうですね。だからDIYで取り組むならば、そういったリスクがあることを念頭に置くべきです。

――本書ではスマートホームに限らず、テクノロジーの進化によって今後どのような変化が起こるかについてもつづられています。小白さんが考える、これからの私たちの暮らしの変化の可能性について教えてください。

小白:今は日進月歩ではなく、「秒進分歩」といわれるような時代です。スマートフォンの普及はあっという間でしたし、今ではみな当たり前のように使いこなしていますよね。そしてどんどん進化している。そこから考えると、10年後、20年後にスマートフォンはもうなくなっている可能性も考えられると思います。

 さらに、IoTからIoB(Internet of Bodies/Behavior)という流れが加速していき、スマートグラスをはじめとしたウェアラブル端末であったり、チップを身体に埋め込むというようなことも普及していくでしょう。より実利的で、身体の一部となってなじむようなデバイスが広がるというわけです。

 また、もう一点挙げたいのが自動運転の技術ですね。自動運転のタクシーが家まで迎えに来て、そのまま目的地まで連れて行ってくれるという話になれば、まさに「移動するリビングルーム」のように利用されるでしょう。移動時間がより有意義なものになり、私たちの生活も一変すると思います。無人ですから、料金も今より廉価にできるかもしれないですし、より便利に使いやすくなるはずです。

――では、スマートホームという点にしぼったときに、今後私たちの生活はどのように便利になっていくのでしょうか。

小白:例えば「空飛ぶベッド」ですが、これはアメリカのバンブルビー社が提供している家具の一つで、天井に収納することができるんです。寝る時にだけベッドを降ろして、普段は天井に上げてスペースを有効活用する。そういった形で、収納の概念が変わったり、空間の効率的な利用がより進む可能性があります。

 また、5G、そして6Gに続く移動通信規格の進化は、住宅にもより大きな影響を及ぼしていくと考えられます。今はオンライン会議も二次元の画面で行っていますが、三次元での会議ができるようになることも考えられます。つまり、一人ひとりは離れた場所にいても一緒にいるような状況で会議ができるようになるわけですね。

 三次元でのオンラインコミュニケーションができるようになると、居住スペースの使い方も変わってきます。これまでは仕事場と住居は分かれているのが当たり前でしたが、そうではなくなり、住宅兼仕事場としてのニーズが増えてくるでしょう。通勤も必要なくなり、生活スタイルにも大きな変革が起こるはずです。

――『鍵のいらない生活 スマートホームの教科書』という本をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

小白:私の願いとしては、皆さんにスマートホームを導入していただき、生活を豊かに便利にしてもらいたいというところがありますが、特に高齢者の方や、高齢の両親がいるお子さんたちに手に取ってもらい、スマートホームに興味を持っていただきたいです。

 おそらく、生活の中で不便さを感じる部分があるはずですし、もっと便利にしたいと思っている方も多いと思います。そのソリューションとしてスマートホームの導入があるのですが、その導入の仕方が分からないという声も多数いただいています。本書ではその点も丁寧に書いたつもりですので、導入のきっかけにしてもらえると嬉しいですね。

――どのように便利になるのか、どう生活が変わるのか、気づいていない部分にも気づける一冊となっています。

小白:そうですね。この本を読んで「今ってこんなことができるようになっているんだ」ということを感じ取ってもらえたらありがたいです。

――まさに入門書となる本ですね。

小白:はい。また、もう一点、不動産のオーナーの方々にもぜひご一読いただけるとありがたいです。私自身が賃貸物件でスマートホームを導入して集客に成功しましたし、不動産の売却にも活用しました。そういった体験談もあるので、もし、興味がある方はぜひ本書を読んでいただき、個別にお話しする機会があれば、お話をさせていただきたいです。(了)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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