iPhone 15シリーズでは、ついに端子がLightningからUSB-Cに変更されました。ただし、15/15 Plusは転送速度が最大480MbpsのUSB 2.0仕様で、上位機種の15 Pro/15 Pro Maxは最大10Gbpsの「USB 3.1 Gen 2(USB 3.2 Gen 2)」仕様になっています。筆者もさっそくiPhone 15 Proを入手しましたが、驚いたことに付属のApple純正USB-Cケーブルはまさかの「USB 2.0」仕様なのです。これでは、15 Pro本来の性能が発揮できません。20万円以上もする高額商品なのに、いくらなんでもこれはヒド過ぎます!
iPhone 15シリーズのUSB規格は機種で異なる!
2023年9月22日より発売された新型iPhone 15シリーズでは、充電ケーブルがApple独自のLightningから汎用性の高いUSB-C(Type-C)に変更されました。
しかし、同じUSB-Cでもノーマルの15/15 PlusはUSB 2.0仕様で転送速度は最大480Mbps。上位機種の15 Pro/15 Pro MaxのUSB-Cは「USB 3.2 Gen 2(USB 3.1 Gen 2)」仕様で、転送速度が最大10Gb/sとなっています。
USB規格一覧(一部)
規格 | 転送速度 |
USB 2.0 | 最大480Mbps |
USB 3.2 Gen 1 (USB 3.1 Gen 1/USB 3.0) |
最大5Gbps |
USB 3.2 Gen 2 (USB 3.1 Gen 2) |
最大10Gbps |
USB 3.2 Gen2×2 | 最大20Gbps |
USB4 Gen 2×2 | 最大20Gbps |
USB4 Gen 3×2 | 最大40Gbps |
Thunderbolt 4 | 最大40Gbps |
Thunderbolt 5 | 最大120Gbps |
USBの規格は非常に複雑ですが、iPhone 15/15 Plusは「USB2.0」仕様、15 Pro/15 Pro Maxは「USB 3.2 Gen 2(USB 3.1 Gen 2)」仕様で、データ転送速度が大きく異なります(表は筆者が独自に作成)
USBの仕様は非常に複雑です。しかも、ケーブルを見ただけではなかなか性能を判断できません。USBの仕様についてはこちらの記事でご確認ください。
先日、筆者もようやくiPhone 15 Pro(512GB)を入手しました。iPhone 15シリーズにACアダプタは付属しませんが、Apple純正のUSB-Cケーブル(60W USB-C充電ケーブル(1m):価格2,780円)が付いてきます。
ところが、実際にiPhone 15 Proに付属するApple純正USB-Cケーブルを使ってパソコンにデータを転送してみたところ、とても10Gbpsとは思えないほど速度が遅いのです。
そこで、Apple公式サイトでUSB-C充電ケーブルの仕様を確認したところ、ハッキリと「USB 2(=USB 2.0)の速度でデータを転送できます」と書かれているではありませんか!
●Apple「60W USB-C充電ケーブル(1m)」は→こちら
「20万円以上で買った高価なiPhone 15 Proは、10Gbpsの高速データ転送がウリのひとつでもあるのに、どうして付属ケーブルが低速のUSB 2.0仕様なのか……!?」さすがに筆者も、これにはかなりガッカリしました。
20万円以上で買った高価なiPhone 15 Proに付属するApple純正USB-Cケーブルが、実はUSB 2.0仕様であったことがショック過ぎた筆者は、念のため「USB CABLE CHECKER」でチェックすることにしました。
その結果、間違いなくApple純正USB-CケーブルはUSB 2.0仕様であり、大電力で急速充電を可能にする「USB-PD(USB Power Delivery)」には対応しているものの、10Gbpsの高速データ転送には非対応であることが確認できました。
しかも、LEDディスプレイには「E-MARKED」が表示されず、安定した電力供給するeMarkerを搭載していないことも判明。
また、抵抗値は低いほうが優秀で219mΩであれば問題ない範囲なのですが、高価なUSB-Cケーブルは200mΩを切っているものが多いので、値段が高い割にはイマイチの結果となりました。
ちなみに、筆者所有のThunderbolt 3仕様のケーブルをUSB CABLE CHECKERでテスト結果も紹介しておきましょう。
こちらはUSB 3.2の項目も含めフルマーク! もちろんE-MARKED表示もあり、抵抗値も108mΩと低く、非常に優秀であることが分かります。
筆者は勝手に、iPhone 15 Proには当然このくらいの品質のUSB-Cケーブルが付属すると思っていたので、本当に驚きました。おそらく15 Pro Maxでも同じものが付属しているのではないでしょうか?
ちなみに、Apple純正USB-CケーブルをApple純正の30W対応ACアダプタを使って実際に充電してみたところ、5.09V/1.51A=7.67Wという結果になりました。
これはUSB Type-C/Cケーブルとしては、ごく普通の速度であり、これなら正直言って100円ショップのものとさほど変わらないという印象を受けました。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はiPhone 15 Proに付属するApple純正USB-Cケーブルが、実はUSB 2.0仕様だったという衝撃の事実をお伝えしました。
おそらくiPhone 15シリーズには15 Pro Maxも含めすべてこのUSB-Cケーブルが付属しているのではないでしょうか。
15/15 PlusはUSB2.0仕様なので問題ないのですが、少なくとも転送速度が10Gbpsの15 Pro/15 Pro Maxには、もう少し高性能なものを付けるべきではなかったかと思います。
もし、大量の写真や4K動画をパソコンにバックアップする機会が多い人であれば、最大10Gbpsに対応する「USB 3.1 Gen 2(USB 3.2 Gen 2)」仕様のUSB-Cケーブルを、別途購入したほうがいいでしょう。
たとえば、AmazonならUGREENのUSB 3.1 Gen 2対応USB Type-Cケーブルが1,999円で買えます。充電はUSB-PD対応で最大240W、転送速度は最大10Gbpsとなっています。
●UGREEN「UGREEN USB Cケーブル【PD対応 240W/5A急速充電4K / 60Hz映像出力 10Gbps 1m】USB 3.1 Gen 2」は→こちら(Amazon)