というニュースが流れたのは、7月2日のことだ。事の発端は、日経新聞Web刊が速報カテゴリで「ソニー、アップルに楽曲配信 販売増へ戦略転換」という見出しの記事を掲載したことだった。この見出しを見る限り、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、ソニー)がついに、これまでの独自路線を廃してiTunes Storeに楽曲を配信するという、とてつもないビッグニュースのように見える。実際、そのタイトルに誰もが驚いた。
しかし、事実はまったく違っていた。記事本文を読むと、ソニーがこれまでの戦略を全面的に方向転換したのではなく、ソニーが出資している「レコチョク」という音楽配信サービスを利用できるiPhone、iPad向けアプリを、アップルのiTunes Storeで配布(無料)するというものだった。
ソニーは日経報道で、とんだとばっちり?
しかもこの日経の記事は有料であり、会員でないと全文が読めないのもまずかった。最初の部分だけプレビューされているが、それだけでは内容がわからない。「大々的にソニーがiTunes Storeで音楽を配信する」と早合点したユーザが、騒ぎ始めたところ、「それは違う」ということがネットなどで広まり、一気にネット上でソニー批判へと発展したのだ。翌日のTwitterやFacebookのタイムラインはこのニュースで賑わいを見せ、さまざまな論争に発展することも少なくなかった。
しかし、最も大変な事態になったのは、iTunes Storeの「レコチョクPlus+」販売ページのカスタマーレビューだ。ちなみに「レコチョクPlus+」はレコチョク会員向けのアプリで自分が購入した曲を、iPhoneやiPadで聞けるようにする音楽プレーヤーアプリであり、「ソニーがiTunes Storeで音楽配信をする」ということではない。