確定申告を終えたこの時期、「来年こそは早めに準備しよう」と決意を新たにする方々も多いだろう。しかし、繁忙期に差し掛かるとついつい後回しにしてしまい、一年に一度の決算処理であるため、具体的な作業内容も忘れがちだ。そんな個人事業主や中小企業経営者にとって便利なのが会計ソフトだ。
特にクラウド会計ソフトの便利さは使ってみると驚くほどだ。全自動クラウド会計ソフト「freee」は、銀行口座やクレジットカード、交通系ICカードを登録すると自動的に会計帳簿がつけられ、数字の打ち込みミスがなくなる。その上、勘定科目を推測して入力されるので仕分けの必要もない。画面の案内に沿って操作するだけで、青色申告や会社法に対応した決算書作成まで可能だ。会計情報はクラウド上に保存されるため、端末や場所にも制限されない。
また、現金決済が生じた際には、Dr.Wallet(ドクターウォレット)ビジネスを利用すれば、レシート情報を自ら入力せずに済む。スマートフォン(スマホ)で領収書を撮影してクラウドに送ると表計算ソフトで出力されるので、あとは仕分けるだけだ。同サービスでは、データ化に際してシステムと人力が補完関係にある。人がかかわることで、手書きの領収書やネット通販の納品書などにも対応でき、仕分けの正確さは99%という高い精度を誇る。
●月額980円のデータ通信
帳簿付けをしていると、毎月の支出が目に留まる。年間を通して積み重ねれば、通信費は相当な額になる。スマホの使用料も、パケット定額料に通話料金を加算すると、月額1万円を超えるという人も少なくないだろう。だが、格安データ通信SIMへ切り替えれば、これを月額1000円程度にまで節約できる。
手続きは簡単だ。格安SIMカードを購入し、SIMフリーのスマホやWi-Fiルーターへ設定するだけでデータ通信を利用できる。検索やメール送受信、ツイッター、LINEなどもストレスなく使える。ライトユーザーであれば、外出時の通信回線は格安SIMで十分事足りるだろう。
例えば、格安SIMカードの一つ「OCNモバイルONE」の場合、通信容量1日あたり30MBで月額980円という定額プランがある。NTTドコモのXiとFOMAの両エリアに対応しているので、都心部でも郊外でもつながる。初期費用で3000円ほど必要となるが、2年契約縛りや解約違約金がないため、長期の海外出張が多いビジネスマンにとっても利用しやすい。
この低額かつ高速の格安データ通信SIMと共に役立つのがIP電話サービスである。通話アプリ「SMARTalk」や「050plus」で自分専用の電話番号を取得すれば、固定電話とも発着信できる。音質や安定性については改善の余地があるが、最近ではSNS大手のLINEも同分野へ本格参入しており、業界全体の更なる質向上に期待がかかる。
クラウド会計ソフトのfreeeで帳簿付けを行い、レシートや手書きの領収書もDr.Walletで手軽にデータ化。格安SIMカードを利用してデータ通信を行い、IP電話サービスで電話番号を取得。これらのサービスを活用して時間を創出し、費用を節約すれば、より重要なことへ注力できるだろう。
(文=土橋克寿)